メンガーの国民経済学原理の対称性
経済現象における相互関係：需要と供給、財と経済主体
カール・メンガーの主著『国民経済学原理』(1871年)は、経済現象における
さまざまな要素間の相互関係を明らかにすることに重点を置いています。 特に、
需要と供給、財と経済主体の間の対称性は、彼の分析の中心をなす重要な概念です。
需要と供給の相互依存性
メンガーは、財の価値は需要と供給の相互作用によって決定されると主張し、
従来の客観的価値論を批判しました。彼の理論では、需要と供給は独立した
変数ではなく、相互に依存し合う関係にあります。財の供給量は、人々の需要
に影響を与え、逆に人々の需要は、生産者の供給行動に影響を与えます。
財の価値における主観性の強調
メンガーは、財の価値は、その財が満たすと期待される人間の欲求の強度によって
決まると考えました。つまり、財の価値は客観的なものではなく、個々の主観的な
評価によって決定されるということです。 これは、需要と供給の両方が、最終的には
人々の主観的な評価に基づいていることを意味します。
経済主体間の相互作用
メンガーは、個人間の交換もまた、相互に有益なものであると見なしました。
交換を通じて、人々は自分の持つ財を、より高い価値を持つ財と交換することができると考えました。
この考え方は、経済主体間の対称性を前提としています。つまり、すべての経済主体が、
自分の利益を最大化しようと行動し、交換を通じて相互に利益を得ることができると考えられています。
経済分析における対称性の重要性
メンガーの国民経済学原理における対称性の概念は、経済現象を理解する上で
重要な視点を提供します。需要と供給、財と経済主体の間の相互関係を分析することで、
価格決定メカニズム、資源配分、経済厚生など、経済学における中心的な問題を
より深く理解することができます。