W・W・デンスロウによる『オズの魔法使い』初版の表紙画: W・W・デンスロウによる『オズの魔法使い』初版表紙(1900年)

オズの魔法使い

ライマン・フランク・ボーム(1856-1919)。アメリカの作家。本作は、ヨーロッパの童話とは違う、アメリカ独自の現代的なおとぎ話を目指して書かれ、児童文学の古典となった。

一言での本質

竜巻に家ごと吹き飛ばされ、不思議の国オズに迷い込んだ少女ドロシー。故郷カンザスへ帰る方法を求めて、彼女は『エメラルドの都』の大魔法使いオズのもとを目指す。道中で出会うのは、脳が欲しいかかし、心が欲しいブリキの木こり、勇気が欲しい臆病なライオン。だが旅の果てに彼らが気づくのは——求めていたものは、実は最初から自分の中にあった、という真実だった。自分の価値は、すでに自分の中にある。誰の心にも響く、自己発見の物語である。

この作品の背景

「オズの魔法使い」は1900年に刊行された、ライマン・フランク・ボームの代表作だ。作者は、グリム童話やアンデルセンのような、ヨーロッパの古い童話とは違う、アメリカで生まれた、新しく、明るく、現代的なおとぎ話を作ろうとした。その試みは見事に成功し、本作は、世代を超えて愛される、アメリカを代表する児童文学になった。

カンザスの農場で、おじとおばと暮らす少女ドロシーは、ある日、愛犬トトと一緒に、大竜巻に家ごと巻き上げられ、不思議の国オズへと運ばれてしまう。家が落ちた拍子に、悪い魔女を一人やっつけてしまったドロシーは、故郷カンザスに帰る方法を探して、すべての願いを叶えてくれるという大魔法使いオズが住む、エメラルドの都へと、黄色いレンガの道をたどって旅を始める。その道中、彼女は、知恵(脳)が欲しいというかかし、優しい心が欲しいというブリキの木こり、そして勇気が欲しいという臆病なライオンと出会い、仲間として、ともにオズを目指すことになる。

物語の構造

  1. 竜巻と異世界少女ドロシーは、竜巻に家ごと飛ばされ、不思議の国オズに迷い込む。
  2. 帰郷への旅故郷カンザスへ帰る方法を求め、大魔法使いオズのいるエメラルドの都を目指す。
  3. 三人の仲間脳が欲しいかかし、心が欲しいブリキの木こり、勇気が欲しいライオンが旅に加わる。
  4. オズの正体大魔法使いオズは、実は魔法など使えない、ただの普通の人間だった。
  5. 自分の中の答え求めていたものは最初から自分の中にあったと気づき、ドロシーは自らの力で故郷へ帰る。

現代の働く人への示唆 解釈

この物語の核心は、『求めていたものは、最初から自分の中にあった』という発見だ。【解釈】かかしは、脳(知恵)を求めて旅をするが、その道中、誰よりも賢く問題を解決し続ける。ブリキの木こりは、心(優しさ)を求めるが、誰よりも仲間思いで、涙もろい。臆病なライオンは、勇気を求めるが、いざというとき、誰よりも勇敢に戦う。彼らは、自分に欠けていると思っていたものを、実はとうに持っていた。ただ、それに気づいていなかっただけなのだ。

大魔法使いオズの正体が、この物語の鍵を握る。【解釈】すべての願いを叶えてくれるはずの偉大な魔法使いオズは、旅の果てに正体を暴かれると、魔法など何一つ使えない、ただの普通の人間だった。彼は、大がかりな仕掛けで、自分を偉大に見せていたペテン師だった。つまり、外に求めた『偉大な力』は、幻だった。誰かが魔法で願いを叶えてくれるのではない。答えは、外の権威ではなく、自分自身の中にある——オズの正体の暴露は、この真実を、鮮やかに示している。

ドロシーが故郷へ帰る方法もまた、最初から彼女の足元にあった。【解釈】物語の最後、ドロシーは、自分が履いていた銀の靴(後の映画では赤い靴)に、最初から、どこへでも行ける魔法の力が宿っていたことを知る。彼女は、はるばるオズを訪ねるまでもなく、最初から、いつでもカンザスへ帰れたのだ。これも、同じ主題の繰り返しだ。答えは、遠い場所や、偉大な誰かのもとにあるのではなく、最初から自分自身が持っている。長い旅は、無駄だったのではない。その旅を経て初めて、彼女は、自分がすでに持っていたものの価値に、気づくことができたのである。

さらに深く知る

原文を読むには

原文を無料で読めます。The Wonderful Wizard of Oz(Project Gutenberg掲載の英語原文)