大魔法使いオズの正体は何を意味するのか
すべての願いを叶えるはずの偉大な魔法使いが、実はただの普通の人間だった。この正体の暴露が、物語のテーマとどう結びつくのかを読み解く。
発見1: 偉大な魔法使いは「ただのペテン師」だった
ドロシーたちが、長い旅の果てにたどり着いた、偉大な大魔法使いオズ。すべての願いを叶えてくれるはずの、恐ろしくも強大な存在。だが、その正体が暴かれると、彼は、魔法など何一つ使えない、ごく普通の老人だった。【解釈】彼は、気球で迷い込んできた、もとは見世物師の男で、大がかりな仕掛けと演出によって、自分を、巨大な顔や、燃え盛る火の玉のような、恐ろしい姿に見せかけていた。エメラルドの都の人々は、その演出に欺かれ、彼を偉大な魔法使いと信じ込んでいた。つまり、人々が崇め、頼っていた『偉大な力』は、巧妙に作られた、まやかしだったのだ。ドロシーたちが、はるばる助けを求めて訪ねた相手は、自分たちと変わらない、無力な一人の人間にすぎなかった。
発見2: 「外の偉大な力」は幻想である
オズの正体が暴かれることは、この物語の主題と、深く結びついている。【解釈】ドロシーも仲間たちも、自分にないもの(帰る方法、知恵、心、勇気)を、外にいる『偉大な誰か』が、魔法で与えてくれると信じて、オズを目指した。だが、その偉大な力は、幻想だった。誰かが、自分の問題を、魔法のように解決してくれるわけではない。この『外の偉大な力は存在しない』という発見は、一見、残酷で、がっかりさせるものだ。だが実は、これこそが、彼らを本当の答えへと導く。頼れる偉大な存在がいない以上、自分の問題は、自分で解決するしかない。そして、いざ自分で向き合ってみれば、解決する力は、最初から自分の中にあった。外の権威への依存を断ち切ることが、自分自身の力に気づく、出発点になるのだ。
発見3: ペテン師オズもまた「気づかせる者」になる
面白いのは、まやかしの魔法使いオズが、それでも、三人の仲間に、大切なものを与えることだ。彼は、魔法は使えないが、三人に、知恵や心や勇気の『しるし』を与え、お前たちはもうそれを持っている、と告げる。【解釈】ペテン師であるオズは、自分が魔法を使えないことを知っている。だからこそ彼は、能力そのものを与えるふりはせず、三人がすでに持っている力に、気づかせる役割を果たす。彼にできたのは、外から力を授けることではなく、彼らの内にある力を、本人に信じさせることだけだった。そして、それで十分だった。ここには、深い逆説がある。偽物の魔法使いが、本物の助けを与える。なぜなら、本当に必要だったのは、魔法ではなく、自分を信じるきっかけだったからだ。オズの正体の暴露は、単に偉大な存在が偽物だったという話ではない。それは、人を救うのは、外から与えられる魔法ではなく、自分の中の力に気づくことだ、という、この物語の最も大切なメッセージを、物語の構造そのもので、見事に語っているのである。
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