難しいことが、すっと分かる。
図解で読める本を作っています。最初の1節を、このページでそのまま読めます。
図解でわかるイノベーションのジレンマ
正しく経営した会社が、なぜ負けるのか。デジタルカメラ、ガラケー、百貨店、任天堂、富士フイルム——決着した10の実例で、この理論が本当かどうかを確かめる本です。
図解70点 / 全70節 / Kindle ¥1,650 / Kindle Unlimited対象 / レビュー ★5.0
まじめに経営した会社から、順番に倒れていった
2010年、デジタルカメラは世界で1億2000万台以上売れていました。家電量販店の一階には各社のカメラがずらりと並び、運動会の朝にはカメラ売場に行列ができました。それから13年後の2023年、出荷台数は772万台。およそ16分の1です。
不思議なのは、この間にカメラメーカーが何か怠けたわけではないことです。画質は上がり続け、手ぶれ補正は進化し、価格も下がりました。製品はむしろ良くなり続けていた。良くなり続けたまま、市場だけが消えたのです。
同じことが、いくつもの業界で起きました。携帯電話の端末メーカー、ビデオレンタルの店、百貨店、対面の証券会社。どこも一流の人材を集め、顧客の声を聞き、品質を磨いていました。まじめに経営された会社から、順番に倒れていった。
この奇妙な現象を、1997年にひとりの経営学者が予言していました。クレイトン・クリステンセン。彼の主張は一行に要約できます。優良企業は、経営を間違えるから負けるのではない。正しく経営するからこそ負けることがある。
にわかには信じがたい主張です。だからこの本は、この主張を信じるところから始めません。疑うところから始めます。日本の読者がよく知っている、すでに決着のついた10の事例を持ってきて、1件ずつ理論に当てはめ、本当にその通りに起きたのかを確かめていきます。
先に結果を言っておきます。10件のうち7件で、理論はほぼ教科書通りに作動していました。2件では、作動しかけて回避されました。そして1件は、ジレンマに見えて実は別の病気でした。この「起きなかった3件」こそ、この本でいちばん役に立つ部分になるはずです。