ロミオとジュリエット

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)。イングランドの劇作家。本作は1590年代半ばに書かれたとされる悲劇。

一言での本質

二つの名家の若い男女が出会い、結婚し、すれ違い、四日でともに死ぬ。だがこの悲劇を殺したのは家の憎しみでも運命でもない。一通の手紙が届かなかったこと——それだけである。世界一有名な恋愛悲劇は、その実、情報伝達の事故の物語だ。

この作品の背景

イタリア・ヴェローナの二大名家モンタギューとキャピュレットは、いつ始まったとも知れぬ「古い遺恨」で反目している。モンタギュー家の息子ロミオと、キャピュレット家の娘ジュリエットは、仮面舞踏会で出会い、一目で恋に落ちる。二人は翌日、ロレンス神父の手で密かに結婚する。

だが同じ日、ロミオは決闘で従兄ティボルトを殺し、ヴェローナを追放される。神父は一計を案じ、ジュリエットに仮死の薬を飲ませて「死んだふり」をさせ、その間にロミオへ事情を知らせる手紙を送る計画を立てる。物語の全運命は、この手紙が届くかどうかにかかっている。

物語の構造

  1. 出会い仮面舞踏会で二人は出会い、即座に恋に落ちる。互いが敵の家の者だと知るのは、その直後である。
  2. 結婚出会った翌日、二人はロレンス神父のもとで密かに結婚する。すべてが猛烈な速さで進む。
  3. 追放同じ日、ロミオは従兄を殺したティボルトを討ち、ヴェローナ追放となる。新婚の二人は引き裂かれる。
  4. 計画親が別の縁談を急ぐ中、神父はジュリエットに仮死薬を渡し、ロミオへ手紙で計画を知らせようとする。
  5. 事故手紙は届かない。ロミオは「ジュリエットが死んだ」とだけ聞き、墓所で毒を飲む。直後に目覚めたジュリエットは、彼の短剣で自ら命を絶つ。

現代の働く人への示唆 解釈

この悲劇の真犯人は「運命」と名指しされがちだが、テキストを追うと、破滅は具体的な事故の連鎖でできている。中でも決定的なのは、ロレンス神父がロミオに送った手紙が届かなかったことだ。憎しみは二人を引き離す背景にすぎず、実際に二人を殺したのは、たった一つの通信の失敗である。

全編がわずか四日に圧縮されている。出会って一日で結婚し、その日のうちに追放され、数日で二人とも死ぬ。神父は繰り返し警告する——「賢くゆっくり進め。速く走る者はつまずく」。誰もその警告を聞かない。これは恋の純粋さの物語であると同時に、すべてを急ぎすぎた者たちの、速度の悲劇である。

二つの家を裂く「古い遺恨」には、作中で原因がただの一度も語られない。なぜ憎み合っているのか、誰も知らないまま憎み続けている。子の世代は、元本の分からない負債だけを相続させられている。憎しみそのものより、理由を失っても続く憎しみの慣性こそが恐ろしい。

さらに深く知る

原文を読むには

本作はパブリックドメイン(著作権保護期間満了)であり、原文を無料で読めます。Romeo and Juliet(Project Gutenberg掲載の英語原文)