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デカルトの省察の感性

## デカルトの省察の感性

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感覚と想像力

デカルトにとって、感性は外界からの情報を認識する能力であり、特に視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感を指します。デカルトは、感性を感覚と想像力の二つに分類しました。

感覚は、外界からの刺激を直接的に受け取る能力を指します。例えば、目の前に赤いリンゴがあるとき、私たちは「赤」という視覚的な感覚を得ます。この感覚は、外界からの刺激と直接的に結びついており、私たち自身の解釈や判断は介在しません。

一方、想像力は、感覚によって得られた情報を基に、心の中で像を作り出す能力です。例えば、目の前に赤いリンゴがなくても、「赤いリンゴ」という像を心の中に思い浮かべることができます。想像力は、過去の経験や知識に基づいて、現実には存在しないものや、まだ経験したことのないものを思い描くことも可能です。

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感覚の懐疑

デカルトは、『省察』の中で、感覚によって得られる知識の確実性を疑います。彼は、夢の中で現実と全く区別のつかない感覚を経験することがあることを指摘し、感覚が常に信頼できるわけではないと主張します。

さらに、デカルトは、感覚が私たちの身体の状態や性質に影響を受けることにも言及します。例えば、同じ水温の水でも、熱いお湯に入った後では冷たく、冷たい水に入った後では温かく感じます。このように、感覚は相対的なものであり、客観的な世界の真実をそのまま反映しているわけではありません。

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感性と理性

デカルトは、感性によって得られる知識は疑わしいものであるとしながらも、感性を完全に否定するわけではありません。彼は、感性を理性によって吟味し、誤りを修正することで、真実に到達できると考えました。

デカルトは、幾何学を例に挙げ、理性によって導き出された知識の確実性を強調します。幾何学の定理は、感覚的な経験とは無関係に、理性的な推論のみによって証明されます。デカルトは、このような理性に基づいた知識こそが、真に確実なものであると主張しました。

デカルトは、感性と理性の関係を明確に区別し、真実に到達するためには、理性によって感性を統御することが重要であるとしました。

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