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20代のためのホッブズ「リヴァイアサン」

20代のためのホッブズ「リヴァイアサン」

ホッブズの生きた時代と「リヴァイアサン」が書かれた背景

17世紀のイングランドは、清教徒革命や王政復古など、政治的、社会的に大きな変動の時代でした。トーマス・ホッブズは、こうした激動の時代を生き抜き、人間の性質や社会のあり方について深く考察しました。そして、1651年に「リヴァイアサン」を出版し、国家の起源と正当性、人間の自由と義務などについて独自の理論を展開しました。

「リヴァイアサン」で展開されるホッブズの思想:自然状態と社会契約説

ホッブズは、「リヴァイアサン」の中で、人間は本来、自己保存と欲望の追求に突き動かされる利己的な存在であり、自然状態では「万人の万人に対する闘争」の状態にあると主張しました。自然状態では、共通のルールや権力がないため、人々は常に生命や財産の危機にさらされ、安心して生活することができません。

こうした状態から脱するため、人々は理性に基づき、互いに契約を結び、絶対的な権力を持つ主権者に服従することを選びます。これがホッブズの社会契約説です。ホッブズは、主権者が強力な権力を持つことで、社会秩序を維持し、個人の安全と自由を保障できると考えました。

20代が「リヴァイアサン」を読むべき理由:現代社会への示唆

「リヴァイアサン」は、単なる歴史的な書物ではなく、現代社会においても重要な示唆を与えてくれるものです。

まず、「リヴァイアサン」は、国家や社会の成り立ち、権力の役割について考えるための基礎を提供してくれます。現代社会は、民主主義や法の支配といった概念が定着していますが、これらの概念も、突き詰めれば人間の理性と合意に基づいています。ホッブズの社会契約説は、国家や社会の基盤を理解する上で重要な視点を与えてくれます。

次に、「リヴァイアサン」は、人間の性質や社会における個人の役割について考えるきっかけを与えてくれます。ホッブズは、人間は利己的な存在であると同時に、理性によって社会秩序を築くことができる存在であるとしました。現代社会においても、個人主義と共同体主義、自由と責任など、相反する価値観のバランスをどのように取るべきかという問題は常に議論されています。「リヴァイアサン」を読むことで、人間の本質と社会のあり方について深く考察することができます。

さらに、「リヴァイアサン」は、現代社会における様々な問題を考える上でのヒントを与えてくれます。例えば、国際紛争やテロリズム、環境問題などは、国家間の利害対立や人間の欲望、資源の有限性といった問題と深く関わっています。ホッブズの思想は、これらの問題の根源を理解し、解決策を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

「リヴァイアサン」を読む上での注意点:多様な解釈と批判的な視点

「リヴァイアサン」は、出版以来、様々な解釈がなされ、多くの議論を巻き起こしてきた書物です。ホッブズの思想は、絶対的な権力を持つ主権者を肯定しているとして、全体主義や独裁主義を正当化するものであるという批判もあります。

「リヴァイアサン」を読む際には、こうした批判的な視点も踏まえ、多様な解釈があることを理解することが重要です。また、ホッブズの思想は、17世紀のイングランドという特定の時代と社会状況の中で生まれたものであり、現代社会にそのまま適用できるものではないという点にも留意する必要があります。

まとめ:20代にとっての「リヴァイアサン」の意義

「リヴァイアサン」は、決して読みやすい書物ではありません。しかし、20代という、人生観や価値観を形成していく上で重要な時期に、この古典を読むことは、社会や人間について深く考えるきっかけとなり、より豊かな人生を送るための糧となるでしょう。

「リヴァイアサン」を通して、国家や社会の成り立ち、人間の性質、現代社会における様々な問題について深く考察することで、20代は自分自身の考えを深め、より良い未来を創造していくための力を身につけることができるでしょう。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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