デフォーのモール・フランダースの技法
一人称視点のナレーション
デフォーは一人称視点のナレーションを用いることで、モール・フランダースの物語を語っています。この手法により、読者はモールの考えや動機を直接知ることができ、彼女の行動に対する共感を誘います。物語の中でモールは自分の行動を正当化しようとする場面が何度も見られますが、読者は彼女の視点を通して彼女の置かれた状況や心理的な葛藤を理解することができます。
詳細な描写
デフォーはモール・フランダースの生活や周囲の環境を詳細に描写することに長けています。特に、貧困や犯罪といった当時の社会問題をリアルに描き出している点が特徴です。読者はモールの目を通して、18世紀のイギリス社会の暗部を垣間見ることができます。このような詳細な描写は、物語にリアリティを与え、読者をモールの世界に引き込む効果があります。
平易な文体
デフォーは当時の小説としては比較的平易な文体を用いています。これは、幅広い読者層に受け入れられることを意図していたためと考えられます。モールの語り口は率直で、まるで友人に語りかけるかのような親しみやすさがあります。この平易な文体が、モールのキャラクターをより身近なものにし、読者の共感を呼んでいます。