シェイクスピアのジュリアス・シーザーを読む
登場人物
* **ジュリアス・シーザー**: ローマの将軍にして、劇の冒頭ではローマの絶対的支配者になろうとしている人物。カリスマ性があり、大衆に人気があるが、傲慢で野心的な一面を持つ。
* **マーカス・ユニウス・ブルータス**: シーザーの友人であり、高潔な人物として描かれている。共和制ローマへの愛と、シーザーの野心に対する恐れとの間で板挟みになる。
* **マーカス・アントニウス**: シーザーの忠実な友人であり、優れた演説家で戦略家。シーザーの死後、ブルータスや他の陰謀者と対立し、復讐を誓う。
* **ガイウス・カシウス・ロンギヌス**: 陰謀の中心人物。シーザーの権力と人気を妬み、彼を暗殺する計画を企てる。
あらすじ
劇は、ジュリアス・シーザーがポンペイウスを破り、ローマに凱旋する場面から始まる。シーザーの人気が高まるにつれて、一部のローマ市民は彼が王になることを恐れ、共和制の終わりを予感する。ガイウス・カシウス・ロンギヌスは、シーザーの野心を危惧し、彼を暗殺する計画を立て、ブルータスを陰謀に引き入れる。
3月15日、シーザーは元老院に向かう途中、陰謀者たちに暗殺される。ブルータスは、シーザー個人の資質ではなく、共和制を守るために暗殺を決行したのだと、ローマ市民に説明する。しかし、マーカス・アントニウスは、シーザーの遺体と遺言を前にした巧みな演説で、民衆の怒りを陰謀者に向けることに成功する。
ブルータスとカシウスはローマから逃亡し、アントニウス、オクタヴィウス、レピドゥスは第二回三頭政治を結成し、陰謀者と戦う。フィリッピの戦いで、ブルータスとカシウスは敗北し、自害する。劇は、シーザーの死が共和制の終焉ではなく、新たな権力闘争の始まりに過ぎなかったことを示唆して終わる。
テーマ
* **運命と自由意志**: 劇は、人間の運命はあらかじめ決められているのか、それとも自らの選択によって未来を切り開けるのかという問いを投げかける。
* **野心と権力**: シーザーの野心と、それが彼自身と周囲の人々にもたらす影響は、劇の中心的なテーマである。
* **裏切りと忠誠**: ブルータスによるシーザーの暗殺は、友情と忠誠の複雑さを浮き彫りにする。
* **正義と復讐**: シーザーの暗殺は、正義の名の下に行われたのか、それとも単なる復讐だったのか、劇は観客に問いかける。
文体
* **空白詩**: 劇は主に、弱強五歩格で書かれた空白詩で書かれている。
* **修辞法**: シェイクスピアは、劇の中で比喩、隠喩、反語などの修辞法を駆使し、登場人物の感情や考えを表現している。
* **対照**: 劇は、シーザーとブルータス、アントニウスとブルータスなど、対照的な登場人物や状況を効果的に対比させている。