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ドッブの価値と分配の諸理論の話法

## ドッブの価値と分配の諸理論の話法

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ドッブの価値と分配の諸理論における話法の特徴

ドッブの『価値と分配の諸理論』は、経済学、特に価値と分配の理論の歴史を、彼独自の視点から論じた書です。その特徴的な話法は、単なる歴史書の枠組みを超え、ドッブ自身の経済学理論の構築と深く結びついています。

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古典派経済学に対する批判的継承

ドッブは、スミスやリカードといった古典派経済学を高く評価し、その労働価値説を継承しようとします。しかし、同時に、古典派が孕んでいた限界や矛盾を鋭く指摘します。例えば、スミスにおける「労働支出説」と「生産費用説」の混在や、リカードにおける労働価値説の適用範囲の曖昧さを批判的に分析しています。

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マルクス経済学の影響と独自解釈

ドッブの経済学は、マルクスの強い影響を受けています。特に、資本主義社会における搾取の構造や、階級闘争の重要性を強調する点に、マルクス経済学の影響が色濃く見られます。しかし、ドッブはマルクス経済学を単に踏襲するのではなく、独自の解釈を加えています。例えば、マルクスの「転形問題」に対して独自の解決を試みている点は、その一例と言えるでしょう。

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新古典派経済学への対決姿勢

ドッブは、当時の主流派であった新古典派経済学に対して、真っ向から対決姿勢を打ち出します。彼は、新古典派の限界効用理論を主観的で非現実的だと批判し、労働価値説に基づいた客観的な価値理論の構築を目指しました。また、新古典派が重視する市場メカニズムについても、資本主義社会における階級関係を覆い隠すイデオロギー的な側面を鋭く指摘しています。

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歴史的文脈を重視した議論

ドッブは、経済理論を歴史から切り離して考えることを拒否し、常に具体的な歴史的文脈の中で議論を展開します。彼は、経済学説はそれが生まれた時代の社会経済構造や、階級関係を反映していると捉え、その点を踏まえて分析する必要性を強調しました。

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明快な論理と鋭い批判精神

ドッブの文章は、明快な論理と鋭い批判精神によって特徴付けられます。彼は、複雑な経済理論を分かりやすく解説すると同時に、その問題点や矛盾を容赦なく指摘します。そのため、読者はドッブの議論を追うことで、経済学の奥深さとともに、その限界や課題についても深く考えることができます。

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