定義

合う証拠はよく見えてよく残り、集めるほど確信だけが深まる。

「あの血液型はマイペース」と聞いた日から、同僚の遅刻は「やっぱり」と記憶に残り、締め切り厳守は素通りする。数週間後、頭の棚には合う証拠だけが並び、「経験上、確かだ」という実感が完成します。嘘も怠けもなく、見る・覚える・数えるの全工程が少しずつ同じ方向に偏る。しかも外れた例は帳簿に載らないので、体感の的中率は上がる一方です。

根っこには、頭の作りがあります。人は白紙で世界を見ず、先に仮説を立てて合うものを素早く拾う——それ自体は優れた省エネ設計です。問題は、合う証拠を集める作業を「確かめた」と数えてしまうこと。合う証拠は何百集めても仮説を保証しません。検索も同じで、「効果」と打てば効果を語る記事ばかりが呼び出され、調べるほど確信だけが積み上がります。

対策は意志ではなく仕組みです。調べ物の最後に「効果なし」「後悔」など逆の検索語を一回足す。予想は結果が出る前に紙に書き、外れも帳簿に載せる。人を評価する場面では、印象より先に評価項目を決める。会議には反対を役割にする「あら探し係」を置く。そして、この道具はまず自分の胸に向けること。他人への正面からの指摘は、ほぼ確実に失敗します。

この概念の論点

14節
  1. なぜ、血液型の話は当たって見えるのか
  2. 人は、仮説の「検証機」ではなく「確認機」である
  3. 外れは、数えられていない
  4. 検索は、「答え合わせ」の道具になりやすい
  5. おすすめが、偏りを完成させる
  6. 人の評価で、この癖は牙をむく
  7. お金と健康は、いちばん高い授業料になる
  8. 科学の作法——仮説は、壊しに行く
  9. 会議に、「あら探し係」を置く
  10. 一人でできる、三つの習慣
  11. 相手の偏りを、正面から指摘しない
  12. 確証バイアスの、よくある間違い
  13. 明日、やる三つのこと
  14. まるごと実践——採用に悩む、ある会社の一週間