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フィヒテの全知識学の基礎の位置づけ

フィヒテの全知識学の基礎の位置づけ

フィヒテの思想における位置づけ

「全知識学の基礎」(1794年)は、ドイツ観念論の哲学者ヨハン・ゴットリープ・フィヒテの主著とみなされています。
この著作は、フィヒテの哲学体系の基礎を築くものであり、彼の思想の出発点を示しています。

フィヒテは、カント哲学を批判的に継承し、独自の哲学体系を構築しようとしました。カントは、人間の認識能力には限界があり、物自体を認識することはできないと主張しました。
フィヒテは、カントのこの主張を受け継ぎつつも、物自体を排除してしまうと、認識の基礎がなくなってしまうと考えました。

そこでフィヒテは、「自我」こそが認識の基礎であるという結論に至ります。フィヒテは、自我を、自らを規定し、世界を創造する活動的な原理として捉えました。
「全知識学の基礎」では、この自我の活動とその原理を、厳密な論理によって導き出そうと試みています。

哲学史における位置づけ

「全知識学の基礎」は、ドイツ観念論の発展において重要な役割を果たしました。
フィヒテの思想は、シェリングやヘーゲルに大きな影響を与え、ドイツ観念論の展開に貢献しました。

特に、自我を認識の基礎とするフィヒテの思想は、シェリングの同一哲学やヘーゲルの絶対精神の哲学へと発展していく重要な契機となりました。
また、「全知識学の基礎」で展開されたフィヒテの論理学は、後の論理学にも影響を与えました。

内容と構成

「全知識学の基礎」は、三つの部分から構成されています。

* **第一部**では、人間のあらゆる認識の基礎となる原理が、「自我」であることが論じられています。
フィヒテは、自我は自らを設定することによってのみ意識されるとし、この自己設定を「自我は自我である」という命題で表現しました。

* **第二部**では、自我に対する非自我、すなわち外界が設定されます。
フィヒテによれば、自我は自らに対立するものとして非自我を設定することで、自己意識を獲得します。

* **第三部**では、自我と非自我の関係が、知識や道徳などの実践的な領域においてどのように展開されるのかが考察されています。
フィヒテは、自我と非自我の相互作用を通じて、知識や道徳が成立すると考えました。

フィヒテは、「全知識学の基礎」において、これらの原理を、複雑で難解な論理を用いて展開しています。
そのため、「全知識学の基礎」は、非常に難解な哲学書として知られていますが、ドイツ観念論を理解する上で欠かせない著作と言えるでしょう。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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