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ルクセンブルグの資本蓄積論のメッセージ

## ルクセンブルグの資本蓄積論のメッセージ

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マルクスの再生産表式論の拡張

ローザ・ルクセンブルクは、主著『資本蓄積論』の中で、カール・マルクスの『資本論』第二巻で展開された資本主義的再生産の図式を批判的に継承しつつ、独自の帝国主義論を展開しました。

マルクスの再生産表式論は、資本主義経済が、労働力と生産手段という二つの部門から成り立ち、その内部での交換によって均衡状態を保ちながら、拡大再生産を行っていく過程を抽象的に示したものでした。

ルクセンブルクは、マルクスのこの図式が、資本主義経済を「閉鎖体系」として捉えている点を批判します。そして、現実の資本主義経済は、常に「非資本主義的環境」との関係性の中で拡大していく「開放体系」であると主張します。

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資本主義における「実現問題」

ルクセンブルクは、資本主義経済が拡大していくためには、生産された剰余価値を「実現」する、つまり売却して貨幣資本に転化させる必要があると指摘します。

しかし、資本主義経済内部では、労働者への賃金が生活必需品の購入にほぼ費やされるため、剰余価値を十分に実現することができません。そこで、資本主義は、常にその外部に新たな市場を求めて拡大していくことになります。

ルクセンブルクは、この外部市場として、具体的には、①非資本主義的な経済体制を持つ地域(植民地など)への商品輸出、②非資本主義的な生産様式に従事する人々(農民など)への商品販売、などを挙げます。

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帝国主義と資本主義の崩壊

ルクセンブルクは、資本主義が「非資本主義的環境」を侵食しながら拡大していく過程で、帝国主義的な対立と戦争が不可避的に生じると主張します。

資本主義列強は、市場と資源を求めて、非資本主義地域を植民地化し、互いに競争しあいます。しかし、世界は有限であるため、この競争は、最終的に、世界大戦のような破滅的な衝突へと発展せざるを得ません。

ルクセンブルクは、このような帝国主義的な戦争と危機を通して、資本主義は最終的に崩壊し、社会主義へと移行していくと結論づけます。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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