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キケロの弁論術についての技法

## キケロの弁論術についての技法

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弁論の五部門

キケロは、優れた弁論を行うために必要な要素として、以下の五部門を提唱しました。

* **inventio(発想):** 論証に用いるための素材や論拠を見つけ出すこと。
* **dispositio(配列):** 見つけ出した素材や論拠を、効果的な順序に配置すること。
* **elocutio(文飾):** 明晰で説得力のある、適切な言葉を用いて表現すること。
* **memoria(記憶):** 弁論の内容を記憶すること。
* **pronuntiatio(発声):** 声の調子、抑揚、身振り手振りを交え、効果的に弁論を伝えること。

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発想(inventio)

キケロは、発想において重要なポイントとして、以下の点を挙げています。

* **論点の明確化:** 弁論において、何が問題となっているのかを明確に理解すること。
* **論拠の収集:** 主張を裏付けるための証拠や根拠を、様々な角度から集めること。
* **トピックス:** 一般的な論証パターンである「トピックス」を活用することで、論拠を効率的に見つけ出すことができる。

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配列(dispositio)

キケロは、効果的な弁論の構成として、以下の6つの部分を提唱しました。

* **序論 (exordium):** 聴衆の注意を引き、好意的な雰囲気を作り出す。
* **物語 (narratio):** 事件の概要を分かりやすく説明する。
* **論点提示 (partitio):** これから展開する論点を明確に提示する。
* **立証 (confirmatio):** 自らの主張を裏付ける証拠や論拠を提示する。
* **反駁 (refutatio):** 相手の主張の矛盾点を指摘し、論破する。
* **結論 (peroratio):** 自らの主張を要約し、聴衆に訴えかける。

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文飾(elocutio)

キケロは、状況や目的に応じて適切な文体を選ぶことが重要だと説き、以下の三つの文体を提唱しました。

* **高尚体 (genus grande):** 華麗で力強い言葉遣いを用い、聴衆を感動させることを目的とする。
* **中間体 (genus medium):** 分かりやすく自然な言葉遣いを用い、聴衆に好印象を与えることを目的とする。
* **卑近体 (genus humile):** 簡潔で平易な言葉遣いを用い、聴衆に内容を理解させることを目的とする。

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記憶(memoria)

キケロは、効果的な記憶方法として、「場所記憶法」を推奨しました。

* **場所記憶法:** 記憶したい内容を、頭の中で familiar な場所と結びつけて覚える方法。

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発声(pronuntiatio)

キケロは、発声において重要な要素として、以下の点を挙げています。

* **声の調子:** 内容に合わせて声の強弱や高低を変化させる。
* **抑揚:** 単調にならないよう、声に抑揚をつける。
* **身振り手振り:** 言葉の内容を強調したり、聴衆の理解を助けるために、適切な身振り手振りを用いる。

これらの要素を効果的に組み合わせることで、聴衆を説得し、自らの主張を受け入れさせることが可能になるというのが、キケロの弁論術の中心的な考え方です。

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