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ヒルファーディングの金融資本論の話法

ヒルファーディングの金融資本論の話法

金融資本の支配と階級関係

ヒルファーディングは、マルクスの資本論を継承し、発展させながら独自の論理構成を展開しています。
彼の議論の中心となるのは、「金融資本」という概念です。ヒルファーディングは、資本主義の発展に伴い、銀行資本と産業資本が相互に浸透し、融合していく過程を「金融資本」の形成として捉えます。
そして、この金融資本こそが、経済活動全体を支配し、利潤獲得の主体となる存在であると論じます。

論証方法の特徴:抽象化と歴史分析の往還

ヒルファーディングは、複雑な現実の経済現象を分析するために、高度な抽象化を用いると同時に、歴史的な分析も重視します。
彼はまず、資本主義経済を、商品生産、貨幣経済、資本主義的生産様式といった基本的なカテゴリーに分解し、それぞれの概念を厳密に定義します。
そして、これらの概念を用いて、金融資本がどのように形成され、経済全体を支配していくのかを論理的に説明していきます。

ヒルファーディングは、抽象的な理論分析だけでなく、具体的な歴史的事実にも目を向けます。
彼は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのドイツ経済を事例として、銀行が産業に対していかなる影響力を持つようになったのかを詳細に分析します。
そして、この歴史的な分析を通じて、抽象的な理論の妥当性を検証しようとします。

論争の的となった諸概念:組織論、帝国主義論

ヒルファーディングの金融資本論は、出版当時から多くの論争を巻き起こしました。
特に、金融資本による経済支配の帰結として、資本主義がどのような発展段階を迎えるのかについては、様々な見解が対立しました。

ヒルファーディング自身は、「組織化された資本主義」という概念を用いて、金融資本による経済支配が、資本主義をより安定したものへと変化させると予測しました。
彼は、金融資本の支配の下で、生産の集中と独占が進展し、経済全体が計画的に組織化されていくと考えていました。
しかし、その後、世界恐慌やファシズムの台頭を経験し、ヒルファーディングの楽観的な展望は批判にさらされることになります。

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