Skip to content Skip to footer

シェイクスピアのから騒ぎの話法

シェイクスピアのから騒ぎの話法

登場人物による言葉遣いの違い

「から騒ぎ」では、登場人物の身分、性別、性格によって、それぞれ異なる言葉遣いがなされています。

* **上流階級の登場人物**: ベネディックやクローディオ、ドン・ペドロといった上流階級の男性は、洗練されたウィットに富んだ言葉遣いをします。一方、ヒーローやベアトリスといった上流階級の女性は、男性に負けず劣らず機知に富んだ言葉で応酬します。
* **下層階級の登場人物**: ドグベリーやヴァージズといった下層階級の人々は、文法的に誤った言葉遣いや、滑稽な言い間違いを多用します。これは、彼らをコミカルな存在として描くためであると同時に、上流階級の洗練された言葉遣いとの対比を際立たせる効果も持っています。

言葉遊びとウィット

「から騒ぎ」は、言葉遊びやウィットに富んだセリフが特徴的です。登場人物たちは、言葉の裏をかくような皮肉や、駄洒落、比喩などを駆使し、軽快な会話を繰り広げます。

* **皮肉**: ベネディックとベアトリスの掛け合いは、互いに愛情を抱きながらも、それを認めたくないがために、皮肉を込めた言葉で罵り合う、という点が特徴的です。
* **駄洒落**: ドグベリーを筆頭とする下層階級の人々の間では、言葉の誤用による駄洒落が多く見られます。彼らの滑稽なやりとりは、劇全体を明るく楽しいものにしています。

劇中劇と偽りの言葉

「から騒ぎ」には、劇中劇や登場人物たちによる策略など、観客が「真実ではない」と理解した上で展開される場面がいくつか存在します。こうした場面では、登場人物たちは偽りの言葉を巧みに操り、物語を混乱へと導いていきます。

* **ドン・ジョンの策略**: ドン・ジョンは、クローディオを陥れるために、言葉巧みに偽りの情報を流します。彼の策略は、言葉のもつ力を悪用した例と言えるでしょう。
* **ヒーローの死を装う策略**: ヒーローの潔白を証明するために、彼女の死を装う策略が実行されます。この場面では、登場人物たちは悲しみを表現しながらも、内心では策略の成功を願っています。

沈黙と雄弁

「から騒ぎ」では、言葉による表現だけでなく、沈黙も重要な意味を持ちます。登場人物たちは、沈黙によって様々な感情を表します。

* **ベアトリスの沈黙**: ベネディックへの想いに気づいたベアトリスは、それまでの饒舌さが嘘のように沈黙します。彼女の沈黙は、恋する乙女の心情を雄弁に物語っています。
* **クローディオの沈黙**: ヒーローの潔白を疑い、彼女を公衆の面前で罵倒したクローディオは、後に自分が誤解していたことに気づき、深く後悔します。彼の沈黙は、自責の念と謝罪の気持ちを表しています。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5