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マイイネッケの歴史主義の成立の光と影

## マイイネッケの歴史主義の成立の光と影

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光:個体性の歴史への着目

マイネッケは、それまでの歴史観 — 例えばヘーゲル弁証法哲学に見られるような普遍的な歴史法則や理念の展開としての歴史観 — に対して、個々の歴史的事象や国家の独自性、一回性を重視する歴史観を提示しました。これは、個々の国民や国家の文化、伝統、経験が歴史を形成していく上で重要な役割を果たしているという認識に基づくものです。

彼は、各時代や民族にはそれぞれの「時代精神」 (Zeitgeist) が存在し、それが歴史を動かす原動力になっていると考えました。これは、歴史を画一的・抽象的に捉えるのではなく、多様で複雑な現実として理解しようとする姿勢を示しています。彼以前の歴史観では見過ごされがちだった、個々の歴史的事象や文化の独自性、そして人間の主体的な活動に光を当てた点は、マイネッケの歴史主義の大きな功績と言えるでしょう。

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影:相対主義と歴史法則の否定

マイネッケの歴史主義は、歴史の普遍的な法則や客観的な基準を否定する相対主義に陥る危険性を孕んでいるという批判もあります。個々の歴史的事象や文化の独自性を強調するあまり、歴史における共通性や法則性を見失ってしまう可能性があるという指摘です。

また、歴史を個々の国民や国家の「時代精神」に還元してしまうことで、歴史を動かす他の要因、例えば経済状況や社会構造、国際関係などの影響を軽視することに繋がるとの批判もあります。歴史は多様な要因が複雑に絡み合って形成されるものであり、単一の要因に還元することはできないという側面を忘れてはなりません。

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