夏目漱石の坊ちゃんが関係する学問
坊ちゃんと当時の教育
作中の時代背景である明治時代は、近代国家の建設を目指し、西洋式の教育制度が導入された時代でした。東京帝国大学をはじめとする高等教育機関が設立され、エリート層の育成が急務とされていました。
坊ちゃんは、四国松山の中学校を卒業後、東京の物理学校に進学します。物理学校は、当時の新興の理系教育機関であり、西洋の近代科学を学ぶ場として設立されました。これは、当時の国家目標である富国強兵を達成するために、科学技術の進歩が不可欠と考えられていたためです。
しかし、作中では、坊ちゃんが物理学校での勉強内容に興味を示す場面はあまり描かれていません。むしろ、坊ちゃんは、当時の教育制度が抱える問題点や、教師たちの欺瞞的な態度に反発する様子が多く描かれています。
坊ちゃんと英語
夏目漱石自身は、東京帝国大学英文科を卒業しており、英語教員としての経験もありました。作中にも、英語に関連するエピソードがいくつか登場します。
例えば、坊ちゃんが松山中学で英語教師として赴任した当初、生徒たちは英語に興味を示さず、授業も全く聞いてくれませんでした。また、赴任先の校長や同僚の英語教師たちも、英語力に問題があるにもかかわらず、地位や権威にしがみついている様子が描かれています。
漱石は、これらのエピソードを通して、当時の英語教育のあり方や、英語に対する日本人の複雑な感情を風刺的に描いていると解釈できます。