## ヴォルテールの哲学辞典と時間
###
時間
ヴォルテールの『哲学辞典』において、「時間」は独立した項目としては扱われていません。しかし、「永遠性」や「充分な理由」といった項目の中で、時間についての考察が展開されています。
###
永遠性
「永遠性」の項目では、時間と永遠性の関係について論じられています。ヴォルテールは、有限な人間の知性では永遠性を理解することは不可能であると述べています。
彼は、過去と未来は人間の想像力の産物に過ぎず、現在のみが実在すると主張します。そして、永遠性とは、この瞬間の連続として理解できるものであり、始まりも終わりもない状態として捉えています。
###
充分な理由
「充分な理由」の項目では、ライプニッツの唱えた「充分理由律」を批判する中で、時間についての考察が展開されています。ヴォルテールは、時間そのものを充分な理由として用いることの矛盾を指摘します。
彼は、ある出来事が特定の時間に起こる理由を「時間」に求めることは、循環論法に陥っていると主張します。時間という概念は、出来事の継起を前提として成り立つものであり、出来事の原因を時間に求めることは論理的に矛盾しているというわけです。