## ヴォルテールの哲学書簡の感性
###
宗教批判に見る合理主義と寛容の精神
ヴォルテールの『哲学書簡』は、イギリス滞在の経験に基づき、フランスの旧体制やカトリック教会を批判した書簡集です。
その特徴として、宗教に対しては、盲信や迷信を嫌悪し、理性を重視する姿勢が顕著に見られます。
特に有名なのは、第24書簡「イギリス人の宗教について」で展開される宗教的寛容の主張です。
ここでは、イギリス社会における多様な宗派の共存を例に挙げ、信仰の自由の重要性を説いています。
これは、当時のフランスにおけるカトリック教会による宗教的圧迫を暗に批判したものと解釈されています。
しかし、ヴォルテールの宗教批判は、単なる反宗教ではありません。
彼は、狂信や不寛容を生み出す宗教の制度や権威を批判する一方で、個人の内面における自然な宗教心や道徳的な神の存在までは否定していません。
むしろ、理性に基づいた宗教、すなわち「自然宗教」を理想としていました。