ヴォルテールのミクロメガスの対極
ミクロメガスの主題：広大さと相対性
『ミクロメガス』は、巨人ミクロメガスと、その同伴者である土星の住民が、宇宙を旅する中で地球を訪れる物語です。彼らの巨大な体格は、人間を矮小に見せるだけでなく、人間の価値観や知識の限界を露呈します。ヴォルテールはこの作品で、宇宙の広大さと、それに対する人間の矮小さを対比させることで、人間の傲慢さを風刺し、相対的な視点の重要性を強調しています。
対極に位置するテーマ：閉鎖性と絶対性
ミクロメガスの対極に位置する作品を考えるならば、閉鎖的な世界観を舞台に、絶対的な価値観を描いた作品が挙げられます。
例：ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』
スウィフトの『ガリバー旅行記』では、主人公ガリバーは、小人国や巨人国、空飛ぶ島など、風変わりな国々を旅します。 各国の奇妙な文化や価値観を通して、当時のイギリス社会を風刺するという点で、『ミクロメガス』と共通する部分もありますが、『ガリバー旅行記』が ultimately 示すのは、人間の不完全さや愚かさに対する、冷めた見方です。
小人国の人々は、些細な違いで争い、巨人国の人々は、その巨大さゆえに、繊細さを欠いています。 空飛ぶ島のラピュータの人々は、抽象的な思考に耽溺し、現実世界の問題には無頓着です。 このように、『ガリバー旅行記』は、『ミクロメガス』とは異なり、相対的な視点を提示するのではなく、人間存在の限界を絶対的なものとして突きつける作品と言えるでしょう。
その他の対照的な要素
* **楽観主義 vs 悲観主義:** ヴォルテールの作品には、人間の理性と進歩に対する楽観主義が見られますが、スウィフトの作品は、人間の本質に対する深い悲観主義に彩られています。
* **風刺の対象:** 『ミクロメガス』は、主に宗教や哲学などの権威や、人間の傲慢さを風刺の対象としていますが、『ガリバー旅行記』は、人間社会全体、特にイギリス社会の政治や文化、人間の愚かさや残虐性を広く風刺しています。
これらの点を踏まえ、『ガリバー旅行記』は、『ミクロメガス』の持つ「広大さと相対性」というテーマとは対照的に、「閉鎖性と絶対性」というテーマを提示する作品として位置付けることができるでしょう。