## ヴォルテールのカンディードの世界
登場人物
* **カンディード:** 主人公。ウェストファリアの男爵家の親戚で、純粋で世間知らずな青年。楽観主義の教えを盲信している。
* **パン gloss:** カンディードの家庭教師。ライプニッツの哲学に基づいた「最善説」を唱える楽観主義者。
* **キュネゴンド:** カンディードのいとこ。美しく、カンディードが恋心を抱く。
* **クネゴンドの兄:** ウェストファリアの男爵の息子。高慢で身分を重んじる。
* **カカンボ:** カンディードの従者となる、機転の利く人物。
* **老婦人:** 数奇な運命を辿ってきた女性。キュネゴンドの侍女となる。
舞台
小説はヨーロッパ各地、南米、トルコなどを舞台に展開されます。
* **ウェストファリアの男爵の城:** 物語の出発点となる場所。カンディードはここで育ち、キュネゴンドと恋に落ちる。
* **リスボン:** 地震、津波、宗教裁判といった災厄に見舞われる都市。楽観主義の矛盾を突きつける場所として描かれる。
* **エルドラド:** 黄金や宝石が豊富に存在する理想郷。しかし、カンディードはここにも留まらず、現実の世界へと戻っていく。
* **コンスタンティノープル:** 物語終盤の舞台。カンディードはここでキュネゴンドと再会し、質素な生活を送ることになる。
テーマ
* **楽観主義への批判:** ヴォルテールは、ライプニッツの「最善説」を風刺し、現実世界の苦難や悪を直視することの重要性を訴えている。
* **宗教と迷信の否定:** 作中では、宗教的な権威や迷信が人々の不幸や不合理な行動の原因として描かれている。
* **人間の不完全さ:** カンディードを含む登場人物たちは、理想や欲望に翻弄され、失敗や挫折を繰り返す。
* **現実的な生き方:** ヴォルテールは、苦難や不条理を受け入れ、自らの力で人生を切り開いていくことの重要性を示唆している。
作風
* **風刺:** ユーモラスで皮肉に満ちた筆致で、当時の社会や思想を痛烈に批判している。
* **ピカレスク:** 主人公が各地を転々とし、様々な冒険や試練を経験する。
* **教養小説:** 哲学、歴史、宗教など、幅広い知識が盛り込まれている。