## ヴィトゲンシュタインの論理哲学論考を面白く読む方法
難解で知られる「論理哲学論考」、どうすれば面白く読めるのでしょうか?
そのヒントは、本書をパズル、あるいは哲学的なゲームとして捉えることにあります。ヴィトゲンシュタインは、従来の哲学が抱える問題を、言語の論理構造を分析することによって解決しようと試みました。そして、その試行錯誤の過程を、まるで読者と共に思考実験をしているかのように、本書に詰め込んでいるのです。
まずは、アフォリズムという形式に注目しましょう。
「論理哲学論考」は、番号が振られた短い文章、すなわちアフォリズムの連なりによって構成されています。これは、体系的な議論を展開するというよりも、読者の思考を刺激し、共に哲学的問題の迷宮を探検するための、ヴィトゲンシュタイン独特の手法です。一つ一つのアフォリズムは、それ自体が独立した思考の結晶であると同時に、他のアフォリズムと複雑に絡み合い、巨大なパズルのピースのように機能しています。
重要なのは、最初から全てを理解しようとしないことです。
「論理哲学論考」は、一度読んだだけで理解できるほど簡単な本ではありません。むしろ、何度も読み返す中で、新しい発見があり、解釈が深まっていく、 inexhaustible な魅力を秘めた書物と言えるでしょう。まずは、自分なりに解釈しながら読み進めてみてください。そして、分からない箇所に出会っても、そこで立ち止まることなく、先に進んでみましょう。後から読み返すことで、以前は見えなかった繋がりに気づくことができるかもしれません。
注釈書や解説書を頼りにするのも有効な手段です。
「論理哲学論考」は、難解であるがゆえに、多くの注釈書や解説書が出版されています。これらの書籍は、「論理哲学論考」の世界への良き案内人となってくれるでしょう。ただし、あくまでも補助的な役割として活用し、自分自身で考えることを放棄しないように注意することが大切です。
「論理哲学論考」を読むことは、哲学的な思考のトレーニングになります。
本書は、読者に受動的に情報を与えるのではなく、積極的に思考することを要求します。アフォリズムの一つ一つと格闘し、自分なりの解釈を見出す作業は、まさに哲学的な思考のトレーニングと言えるでしょう。ヴィトゲンシュタインの思考の軌跡を辿ることで、私たち自身の思考もまた、研ぎ澄まされていくのです。