## ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」と言語
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世界と命題の関係
「論理哲学論考」において、ヴィトゲンシュタインは言語と世界の関係を、写像という概念を用いて説明しようと試みます。彼によれば、世界は事実の総体であり、事実は独立した対象(事物)の結びつきです。そして、言語、特に彼が「要素命題」と呼ぶ最小単位の命題は、これらの事実を写し取るものとして機能します。
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言語の限界と「語りえぬもの」
ヴィトゲンシュタインは、世界を構成する事実のみが言語によって表現可能であると主張します。一方で、倫理、美、宗教といった形而上学的な問題は、事実についてのものではないため、言語によって意味を成す形で表現することはできないとされます。
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意味の理論としての「使用説」
「論理哲学論考」における重要な主張の一つに、言語の意味は、その使用法によって決定されるというものがあります。これは、「使用説」と呼ばれる言語哲学上の立場であり、言葉そのものに固定的な意味があるのではなく、文脈や使用状況によってその意味が決定されるという考え方です。
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「論理哲学論考」の目的と「梯子の比喩」
ヴィトゲンシュタインは、「論理哲学論考」の目的を、哲学的問題を解消することにおきます。彼は、哲学的問題の多くは、言語の誤用によって生じると考えました。そして、「論理哲学論考」自体も、読者が正しい言語観を獲得した後は、もはや必要のないもの、いわば「梯子」のようなものとして捉えられるべきだと述べています。