## ワルラスの純粋経済学要論の機能
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経済学を物理学のように厳密な学問にすること
ワルラスは、「純粋経済学要論」を執筆するにあたって、当時の経済学が自然科学、とりわけ物理学のような厳密な法則に基づいた学問体系を有していなかったことを問題視していました。そこで彼は、物理学で使用される数学的なモデル分析の手法を経済学に導入することで、経済現象をより客観的かつ精密に説明しようと試みました。
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一般均衡理論の構築
「純粋経済学要論」の最大の功績は、一般均衡理論を体系的に構築した点にあります。ワルラスは、複数の市場における需要と供給の関係を連立方程式で表し、すべての市場が同時に均衡状態になる条件を明らかにしました。
従来の経済学では、個別の市場における部分均衡分析が主流でしたが、ワルラスは経済全体を包括的に捉え、各市場が相互に影響し合うメカニズムを解明しようとしたのです。
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限界効用理論の導入
ワルラスは、「純粋経済学要論」において、財の価値はその限界効用によって決定されるとする限界効用理論を提唱しました。限界効用とは、財を消費する量が増加するにつれて得られる追加的な満足度が減少していくことを指します。
ワルラスは、消費者の需要は限界効用が価格と一致する点で決定されると考え、需要曲線の導出を試みました。これは、従来の古典派経済学における労働価値説からの脱却を意味するものであり、後の近代経済学における価格理論の基礎となりました。
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