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ワルラスの純粋経済学要論の位置づけ

ワルラスの純粋経済学要論の位置づけ

ワルラスの経済学における貢献

レオン・ワルラス(Léon Walras 1834-1910)は、フランスの経済学者であり、「限界革命の父」の一人として知られています。彼の主著『純粋経済学要論』(Éléments d’économie politique pure) (1874-77)は、経済学の歴史における記念碑的な著作であり、近代経済学、特にミクロ経済学と一般均衡理論の基礎を築いたとされています。

限界革命と一般均衡理論

ワルラスは、ジェヴォンズやメンガーとほぼ同時期に、経済分析に限界効用理論を導入しました。彼は、財の価値は、その財の限界効用、つまり、追加的に消費される一単位から得られる満足度によって決まると主張しました。

さらに重要なことに、ワルラスは、個々の市場における需要と供給の相互作用だけでなく、すべての市場が同時に均衡状態にあることを示す一般均衡理論を構築しました。彼は、経済を複数の市場と多数の消費者・生産者からなる相互依存体系として捉え、数学的なモデルを用いることで、すべての市場が同時に均衡状態になるための条件を明らかにしようとしました。

純粋経済学要論の内容と意義

『純粋経済学要論』は、ワルラスの経済学体系を体系的に展開した著作です。この著作の中で、ワルラスは、まず、交換経済における価値と価格の決定メカニズムを分析し、次に、生産要素の市場を含むより複雑な経済モデルへと拡張していきました。そして、最終的に、資本蓄積と貨幣の役割を含む動学的な経済モデルを提示しました。

ワルラスの分析は、高度な数学を用いたものでしたが、彼の目的は、現実の経済を正確に描写することではなく、むしろ、自由競争が支配する市場経済における資源配分のメカニズムを明らかにすることにありました。

後世への影響

『純粋経済学要論』は、出版当初は、その難解さからあまり注目されませんでしたが、20世紀に入ると、パレートやヒックスなどの経済学者たちによって再評価され、近代経済学の基礎となる著作として広く認められるようになりました。

ワルラスの一般均衡理論は、今日のミクロ経済学の基礎となっており、彼の思想は、経済政策の分析や市場メカニズムの理解に広く応用されています。

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