Skip to content Skip to footer

ワルラスの純粋経済学要論の世界

## ワルラスの純粋経済学要論の世界

レオン・ワルラスと純粋経済学要論

レオン・ワルラスは19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの経済学者であり、「限界革命の父」の一人として知られています。1874年に出版された主著『純粋経済学要論』(Éléments d’économie politique pure)の中で、彼は数学を用いて経済現象を分析する手法を体系的に導入し、後の経済学に多大な影響を与えました。

一般均衡理論の中核

『純粋経済学要論』の中心的なテーマは、**一般均衡理論**です。ワルラス以前の経済学は、個々の市場における需要と供給の均衡を分析する**部分均衡論**が主流でした。

ワルラスは、経済全体を相互に関連し合う複数の市場の集合体として捉え、全ての市場が同時に均衡状態にある状態を**一般均衡**と定義しました。そして、この一般均衡が成立する条件や、均衡状態における価格や取引量の決定メカニズムを数学的に分析しました。

需要と供給の数学的表現

ワルラスは、需要と供給を価格の関数として表現しました。個々の消費者は、それぞれの財の価格と自分の所得に基づいて、効用を最大化するように財の消費量を決定します。この消費者の行動を分析することで、各財の需要を導き出すことができます。

同様に、生産者は各財の価格と生産技術に基づいて、利潤を最大化するように生産量を決定します。この生産者の行動を分析することで、各財の供給を導き出すことができます。

ワルラス均衡とオークションeer

ワルラスは、市場メカニズムが一般均衡へと導く過程を説明するために、**オークションeer(競売人)**という仮想的な存在を導入しました。

オークションeerは、全ての財の価格を提示し、需要と供給のバランスを見ながら価格を調整します。需要が供給を上回る場合には価格を引き上げ、供給が需要を上回る場合には価格を引き下げることで、最終的に全ての市場で需要と供給が一致する価格、すなわち**均衡価格**を見つけ出します。

限界効用理論の導入

ワルラスは、財の価値はそれがもたらす効用によって決まると考えました。 そして、財の消費量が増加するにつれて、追加的に得られる効用(**限界効用**)は逓減していくと考えました。

消費者は、各財の限界効用と価格を比較し、限界効用が価格を上回る財をより多く消費しようとします。最終的には、全ての財の限界効用が価格に比例する状態、すなわち効用最大化の状態に到達します。

現代経済学への影響

『純粋経済学要論』で展開された一般均衡理論は、現代経済学の基礎となる重要な理論の一つとなっています。ワルラスの理論は、市場メカニズムが資源配分において重要な役割を果たしていることを示しており、価格の役割や市場の効率性に関する議論の出発点となっています.

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5