## ワルラスの純粋経済学要論と言語
ワルラスの「純粋経済学要論」における言語の役割
レオン・ワルラスの主著「純粋経済学要論」(Éléments d’économie politique pure) は、近代経済学、特にミクロ経済学および一般均衡理論の基礎を築いた重要な著作として知られています。この著作においてワルラスは、自然科学における数学的方法論を経済学に導入することを試みました。
数学的言語の導入
ワルラスは、経済現象を明確かつ厳密に記述するために、自然科学、特に物理学で用いられていた数学的言語を経済学に導入しました。彼は、需要と供給の関係、価格決定のメカニズム、市場均衡などを数式を用いて表現しました。
言語の抽象化と単純化
数学的言語を用いることで、ワルラスは経済現象を抽象化し、単純化することに成功しました。彼は、現実の複雑な経済活動を、少数の変数と方程式で表現できるモデルによって表現しました。
言語の限界
ただし、ワルラス自身も、数学的言語の限界を認識していました。彼は、経済学が扱う対象は、人間の行動や心理など、数学では完全に捉えきれない側面も含んでいることを認めていました。
自然言語との併用
ワルラスは、「純粋経済学要論」において、数学的言語だけでなく、自然言語も併用しています。彼は、数式によって導き出された結論を、言葉によって解釈し、説明しています。