ワイルドのサロメを読んだ後に読むべき本
聖書、特にマタイによる福音書第14章
オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」は、聖書に登場するサロメの物語を独自の解釈で脚色した作品です。 ワイルド版のサロメをより深く理解するために、ぜひとも原作である聖書、特にマタイによる福音書第14章を読んでみてください。 この章では、洗礼者ヨハネの死と、それに至るサロメとヘロデ、ヘロディアの物語が簡潔に描かれています。
ワイルドは聖書のエピソードを骨格としながらも、登場人物の性格や関係性、物語の舞台設定などを大胆に脚色し、独自のエロティシズムと退廃的な美意識を織り交ぜています。 聖書を読むことで、ワイルドが原作のどの部分をどのように翻案したのか、そして彼の創造性がどこで最も発揮されているのかが見えてくるでしょう。
たとえば、聖書ではサロメは名前すらなく、「ヘロディアの娘」としか記されていません。 彼女がヨハネの首を求めたのも、母親にそそのかされた結果であり、その心情は深く描かれていません。 一方、ワイルドのサロメは、ヨハネに激しい恋心を抱き、その拒絶に対する復讐として彼の首を要求する、能動的で情熱的な女性として描かれています。
聖書とワイルドの作品を比較することで、それぞれの作品の持つテーマやメッセージ、そして時代背景を反映した表現の違いをより鮮明に浮かび上がらせることができるでしょう。