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ワイルドのサロメの対極

ワイルドのサロメの対極

サロメ像の対比:官能から純粋へ

オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」は、聖書に登場するサロメを、ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)への異常なまでの執着と欲望を抱く、退廃的で官能的な女性として描いています。

一方、「ワイルドのサロメ」の対極に位置する作品として挙げられるのが、ギュスターヴ・フローベールの小説「聖アントワーヌの誘惑」です。本作では、サロメは、聖アントワーヌが瞑想中に見る幻影の一つとして、ほんの短い間登場するのみです。

フローベールのサロメは、豪華な衣装を身につけ、官能的な踊りを披露しますが、それはあくまでアントワーヌを誘惑するための虚像であり、ワイルドの作品のような生々しい欲望や残酷さは表現されていません。むしろ、アントワーヌの揺るぎない信仰心によって、サロメの誘惑は退けられます。

このように、同じサロメという題材を扱いながらも、「ワイルドのサロメ」と「聖アントワーヌの誘惑」では、その描かれ方が大きく異なり、サロメ像は官能と純粋、退廃と信仰といった対照的なイメージとして表現されています。

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