ロビンソンの資本蓄積論の関連著作
マルクスの資本論
ロビンソンの『資本蓄積論』は、マルクスの『資本論』と密接に関連しています。マルクスは資本主義経済における資本蓄積の過程とその矛盾を分析し、資本主義は必然的に崩壊し、社会主義へと移行すると主張しました。ロビンソンはマルクスの分析を継承し、発展させました。
具体的には、ロビンソンはマルクスの以下の点に注目しました。
* 資本蓄積は、資本家階級が労働者階級から剰余価値を搾取することによって行われる。
* 資本蓄積は、生産力の発展をもたらすが、同時に、生産過剰、失業、経済危機などの問題を引き起こす。
* 資本主義は、これらの矛盾を克服することができず、最終的には崩壊する。
ロビンソンは、マルクスの分析をより厳密な数学モデルを用いて表現し、発展させました。例えば、ロビンソンは、資本蓄積率と利潤率の関係を分析し、資本蓄積率が高すぎると利潤率が低下し、資本主義経済が停滞する可能性があることを示しました。
ケインズの一般理論
ロビンソンの『資本蓄積論』は、ケインズの『雇用、利子および貨幣に関する一般理論』とも関連しています。ケインズは、大恐慌の経験を踏まえ、市場メカニズムが常に完全雇用を達成するとは限らないことを主張しました。ケインズは、政府が財政政策や金融政策を通じて有効需要を管理することの重要性を強調しました。
ロビンソンは、ケインズの分析を動学的な視点から発展させました。ロビンソンは、ケインズが短期的な分析に限定していたのに対し、資本蓄積や技術進歩などの長期的な要因が有効需要に与える影響を分析しました。
具体的には、ロビンソンは、ケインズモデルに資本蓄積と技術進歩を導入し、長期的な経済成長の条件を分析しました。ロビンソンは、経済成長を維持するためには、投資と貯蓄のバランス、技術進歩と雇用のバランスなどを適切に調整することが重要であることを示しました。
カラドアの成長論
ロビンソンの『資本蓄積論』は、カラドアの成長論とも関連しています。カラドアは、経済成長の要因として、資本蓄積、労働力の増加、技術進歩の三つを挙げました。カラドアは、これらの要因が相互に影響し合いながら経済成長をもたらすことを示しました。
ロビンソンは、カラドアの成長論をマルクス主義の視点から批判的に検討しました。ロビンソンは、カラドアが資本蓄積と技術進歩の関係を十分に分析していないと批判しました。ロビンソンは、技術進歩は資本蓄積によって促進されるだけでなく、資本蓄積の方向性を規定する重要な要因でもあると主張しました。