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ロビンソンの資本蓄積論の周辺

## ロビンソンの資本蓄積論の周辺

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1. 出版の背景と目的

ジョーン・ロビンソンの主著『資本蓄積論』は、1956年に出版されました。これは、ケインズ経済学の隆盛期に発表され、ケインズ理論を長期的な分析に拡張しようとする試みの一つとして位置づけられます。ロビンソン自身は、この著作を「ケインズ革命の第二段階」と位置づけており、ケインズが短期的な分析にとどまった雇用と所得の問題を、長期的な資本蓄積の問題にまで拡張することを目指していました。

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2. 内容の概要

本書は、大きく分けて以下の三つのテーマを扱っています。

* **資本蓄積と経済成長:** ロビンソンは、資本蓄積率、利潤率、賃金率の関係を分析し、資本主義経済における成長のメカニズムを明らかにしようとしました。
* **所得分配と経済成長:** ロビンソンは、利潤分配率が資本蓄積と経済成長に与える影響を分析し、所得分配の不平等が経済成長を阻害する可能性を指摘しました。
* **技術進歩と経済成長:** ロビンソンは、技術進歩が資本蓄積と経済成長に与える影響を分析し、技術進歩が経済成長の原動力となる一方で、失業を引き起こす可能性も指摘しました。

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3. 当時の経済学界への影響

『資本蓄積論』は、出版当時、経済学界に大きな衝撃を与え、多くの論争を巻き起こしました。特に、新古典派経済学の資本理論に対する批判は、ケンブリッジ資本論争と呼ばれる論争へと発展しました。ロビンソンの主張は、ピエロ・スラッファやルチアーノ・バンコーニなど、他のポスト・ケインジアンの経済学者にも影響を与え、現代のポスト・ケインジアン経済学の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。

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4. 批判と評価

ロビンソンの『資本蓄積論』は、その後の経済学に大きな影響を与えましたが、同時に様々な批判も受けてきました。主な批判としては、モデルの複雑さや現実の経済との乖離などが挙げられます。しかしながら、資本主義経済の動態を長期的な視点から分析し、所得分配や技術進歩の問題に焦点を当てたことは、今日においても高く評価されています。

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