## ロックの統治二論を読む
ロックの統治二論を読むにあたって
ジョン・ロックの『統治二論』は、近代政治思想の古典であり、近代立憲主義の基礎を築いた書として知られています。本著は、絶対王政を擁護したロバート・フィルマーの『パトリアーカ』に対する反論として書かれたものであり、自然状態、自然権、社会契約説、抵抗権といった重要な概念が展開されています。
統治二論の構成
『統治二論』は、タイトルが示す通り二部構成になっています。
* **第一論:** フィルマーの主張に対する批判が展開されています。特に、父権に基づく政治権力の正当性を否定し、すべての人間は生まれながらにして自由かつ平等であるという自然状態の概念を提示しています。
* **第二論:** ロック自身の政治理論が展開されています。自然状態から社会契約によって政治社会が形成される過程、統治の目的と限界、政府に対する抵抗権などが論じられています。
統治二論を読む際のポイント
* **歴史的背景:** 『統治二論』は、イギリス名誉革命 (1688年) を正当化する目的で書かれたという歴史的背景を理解することが重要です。当時のイギリスの政治状況や思想的潮流を踏まえ、ロックの主張を読み解く必要があります。
* **自然状態:** ロックの政治理論は、自然状態という概念を基盤としています。自然状態とは、いかなる政治権力も存在しない状態であり、すべての人間は自由、平等、独立した存在として描かれています。
* **自然権:** ロックは、自然状態においてすべての人間が生命、自由、財産といった固有の権利を有すると主張しました。これらの自然権は、政治社会においても保障されるべき基本的な権利と位置づけられています。
* **社会契約:** ロックは、自然状態から政治社会への移行を、人々の合意に基づく社会契約によって説明しました。人々は、自然権をより確実に保障するために、自らの権利の一部を放棄し、政治社会を形成し、政府に権力を委託したとされます。
* **抵抗権:** ロックは、政府が統治の目的である人民の権利の保障を逸脱した場合、人民は政府に抵抗する権利を有すると主張しました。この抵抗権は、専制的な政府による人権侵害を防ぐための重要な歯止めとして機能すると考えられています。
現代社会における意義
『統治二論』で展開されたロックの思想は、近代民主主義、立憲主義、人権思想などに多大な影響を与え、現代社会においても重要な意義を持ち続けています。特に、個人の自由と権利を重視するリベラリズムの源流として、現代社会における様々な政治的、社会的議論の基盤となっています。