ロックの統治二論の構成
第一論文について
第一論文は、ロバート・フィルマーの『パトリアーカ』(Patriarcha)で展開された家父長制に基づく絶対王政を反駁することに殆どを費やしています。ロックはフィルマーの聖書解釈を批判し、アダムの絶対的な支配やその後の世襲について、聖書には根拠がないことを主張します。
第二論文について
第二論文では、ロックは自然状態、自然法、社会契約論、そして革命権について論じています。
自然状態
ロックは、自然状態を、すべての人間が平等で自由であり、いかなる他の人間の支配にも従属していない状態として描きます。しかし、自然状態は完全な無秩序状態ではありません。自然法と呼ばれる道徳律によって支配されており、すべての人は自己保存の権利と他人の権利を侵害しない義務を有しています。
社会契約と政治社会の成立
自然状態には、個人の権利保護や紛争解決において不確実な側面があるため、人々は社会契約によって政治社会を形成することを選択します。人々は、共通の法律を制定し、その法律を執行する共通の権力を持つことに合意します。
統治の形態と制限された政府
ロックは、絶対的な君主制を否定し、政府の権力は制限されるべきだと主張します。彼は、立法権、執行権、司法権の分立を提唱し、政府の権力の濫用を防ぐ仕組みの必要性を説いています。
抵抗権と革命権
政府が社会契約に違反し、人々の権利を侵害する場合、人々は抵抗する権利、さらには政府を転覆させる革命権を持つとロックは主張します。