ロックの政府論の対極
ロックの「統治二論」の概要
ジョン・ロックの『統治二論』(1689年)は、近代政治思想の古典であり、自然権、社会契約、抵抗権といった概念を提唱し、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも影響を与えた重要な書物です。
ロックの主張
ロックは、人間は自然状態において、生命、自由、財産といった自然権を有すると主張しました。そして、政府は、これらの自然権を保護するために、被治者の同意に基づいて設立されるとしました。また、政府が自然権を侵害する場合には、人民は抵抗する権利を持つとしました。
対極に位置する思想:絶対王政
ロックの思想の対極に位置するものとして、ヨーロッパにおいて16世紀から18世紀にかけて広く見られた絶対王政が挙げられます。
絶対王政の主な論拠
* **王権神授説:** 王の権力は神から与えられたものであり、人民は王に絶対的に服従する義務があるという考え方。
* **国家理性説:** 国家の秩序と安全のために、強力な権力を持つ君主による統治が必要であるという考え方。
絶対王政を論じた思想家
絶対王政を擁護した代表的な思想家としては、**ジャン・ボダン**(1530-1596)や**トマス・ホッブズ**(1588-1679)が挙げられます。
代表的な著作
* ジャン・ボダン『国家論』(1576年)
* トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』(1651年)
絶対王政の具体例
フランスのルイ14世(在位1643-1715)は、”朕は国家なり”という言葉で知られるように、絶対王政を象徴する君主として君臨しました。彼は、ヴェルサイユ宮殿を建設し、貴族たちを宮廷に集めて統制するなど、強大な権力を背景にフランスをヨーロッパ最強国家に導きました。