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ロックの寛容についての書簡の思想的背景

ロックの寛容についての書簡の思想的背景

宗教改革と三十年戦争の影響

ロックの寛容論は、彼が生きていた時代背景と切り離せません。16世紀の宗教改革は、それまでヨーロッパを支配していたカトリック教会の権威を揺るがし、プロテスタントと呼ばれる新しい宗派を生み出しました。この宗教改革は、単なる宗教上の対立に留まらず、政治や社会構造にも大きな変革をもたらしました。

ロックが生まれた1632年は、まさにヨーロッパが宗教対立の渦中にあった三十年戦争(1618-1648年)の最中です。この戦争は、カトリックとプロテスタントの諸侯が複雑に絡み合い、神聖ローマ帝国とその周辺地域を巻き込む大規模な戦争へと発展しました。ロック自身も、この戦争が終結したウェストファリア条約によって、ようやくヨーロッパに平和が訪れたのを目の当たりにしています。

三十年戦争の悲惨な経験は、ヨーロッパの人々に宗教対立の無益さと、宗教的寛容の必要性を強く認識させました。ロック自身も、この戦争がもたらした混乱と破壊を目の当たりにする中で、国家が特定の宗教を強制することの危険性と、信教の自由の重要性を痛感したと考えられます。

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