## ロックの人間知性論の入力と出力
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入力
ジョン・ロックは、人間は生まれながらにして白紙状態であると主張しました。これは「タブラ・ラサ」と呼ばれる概念です。つまり、我々の知識はすべて経験を通して後天的に得られるものであるとしました。この経験は、大きく二つの源泉に分けられます。
一つは「感覚」によるものです。外界の事物から五感を通して受け取る情報がこれにあたります。熱い、冷たい、赤い、硬いといった直接的な感覚経験から、より複雑な事物の認識も生まれてきます。
もう一つは「反省」です。これは自身の心の内面的な働きを観察することによって得られる知識です。例えば、何かを考えたり、感じたり、望んだりする自身の心の動きに気づくことで、思考、感情、意志といった心の能力の存在とその働きについて理解します。
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出力
ロックは、感覚と反省を通して得られた単純な観念が、心の働きによって様々に結合され、複雑な観念や知識を生み出すと考えました。
心の働きとして、ロックは「比較」「抽象」「複合」「判断」「推論」などを挙げます。例えば、「リンゴ」と「赤い」という単純観念を比較することで、「赤いリンゴ」という複合観念が生まれます。
このようにして形成された知識は、言語を通して他者と共有され、発展していくことになります。ロックは、言語の役割を重視し、それが思考やコミュニケーションの道具として重要な役割を果たすと考えました。
ロックの人間知性論は、経験主義 epistemology の代表的な理論として知られています。彼は、人間の知識の起源と限界を明らかにすることで、合理的で客観的な認識の基礎を与えようとしました。