## レーニンの唯物論と経験批判論を面白く読む方法
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1. まずは「敵」を知ろう!
レーニンの『唯物論と経験批判論』は、一見すると難解で、退屈な哲学書に思えるかもしれません。しかし、この本はレーニンが当時のロシア知識人の間で流行していた「マッハ主義」という思想を痛烈に批判した、いわば「論争の書」なのです。
マッハ主義は、オーストリアの物理学者エルンスト・マッハの思想を基にしたもので、「感覚こそが世界のすべて」という立場をとります。彼らは客観的な物質の存在を否定し、「物」は私たちの感覚の複合に過ぎないと考えました。レーニンは、このマッハ主義がロシア革命の思想的基盤であるマルクス主義を脅かす危険な思想だとみなし、徹底的に論駁しようと試みたのです。
ですから、『唯物論と経験批判論』を面白く読むためには、まずレーニンが「敵」として見ていたマッハ主義についてある程度理解しておくことが重要です。マッハ主義の主張は一見すると新鮮で魅力的に映るかもしれません。しかし、彼らの主張を深く掘り下げていくと、そこに潜む矛盾や問題点が見えてくるはずです。
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2. レーニンの熱い「想い」を感じ取ろう!
レーニンは単なる哲学者ではありませんでした。彼はロシア革命を成功に導いた、情熱的な革命家でした。レーニンにとって、哲学は机上の空論ではなく、革命を成功させるための強力な「武器」だったのです。
『唯物論と経験批判論』は、レーニンのその熱い想いが込められた書です。彼は、マッハ主義の思想がロシア革命を阻害するものであると確信し、その誤りを厳しく指摘しました。彼の文章からは、マッハ主義に対する激しい怒りと、マルクス主義を守り抜こうとする強い意志を感じ取ることができます。
ですから、この本を読む際には、難解な哲学用語の理解にこだわるあまり、レーニンの「想い」を見失わないように注意することが大切です。彼がなぜここまで熱心にマッハ主義を批判するのか、その背景にあるロシア革命との関係性について考えながら読んでみてください。
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3. 現代社会との「つながり」を見つけよう!
『唯物論と経験批判論』は、100年以上も前に書かれた本ですが、そこで論じられているテーマは現代社会にも通じるものがあります。例えば、現代においても、物質的な豊かさよりも精神的な満足を重視する風潮や、客観的な真実よりも個人の主観的な感覚を重視する風潮が見られます。
これらの風潮は、ある意味ではマッハ主義的な思想の現代における反映と言えるかもしれません。レーニンは、マッハ主義の思想が孕む問題点を鋭く指摘していますが、彼の指摘は現代社会に対しても多くの示唆を与えてくれます。
ですから、『唯物論と経験批判論』を読む際には、現代社会との共通点や差異点を探してみるのも面白いでしょう。レーニンの時代と現代とでは社会状況や思想潮流は大きく異なりますが、人間の思考や行動の根底には共通する部分もあるはずです。