## ルターのキリスト者の自由の美
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真の自由と束縛
マルティン・ルターの「キリスト者の自由」は、1520年に発表された宗教改革の重要な文書の一つです。この書の中でルターは、キリスト者だけが真の自由と真の束縛を知っていると主張しました。
ルターは、人間には霊と肉体の二つの側面があると説きます。そして、外的な行為や律法の遵守は、人間の肉体的な側面にのみ影響を与えるものであり、真の自由や束縛とは無関係であるとしました。真の自由とは、罪と死の束縛から解放され、信仰によってのみキリストと一つになることを通して得られる、霊的な状態を指します。
逆に、真の束縛とは、罪と自己愛によって支配された状態です。ルターは、人間は生まれながらにして罪深い存在であり、善を行うことができないと主張しました。律法は、人間に自分の罪深さを自覚させ、キリストの救いを求めるように導く役割を果たします。しかし、律法によって救われるのではなく、信仰によってのみ救われるのです。
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愛による奉仕
ルターは、キリスト者だけが真に自由であると同時に、真に他者に仕えることができると説きました。信仰によってキリストと一つになったキリスト者は、もはや自分のためではなく、隣人のために生きるようになります。
愛は、キリスト者の自由の自然な結果として現れます。キリストの愛によって自由になったキリスト者は、見返りを期待することなく、自発的に隣人に仕えます。この愛による奉仕は、社会的な地位や身分に関係なく、すべての人に対して向けられます。
ルターは、「キリスト者の自由」の中で、キリスト者はすべての人に対する仕え手であり、すべての人に仕える義務があると述べています。これは、当時の社会における身分制度や教会の権威主義に対する痛烈な批判でもありました。