## ルソーの告白の面白さ
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赤裸々な告白の魅力
「ルソーの告白」は、18世紀フランス啓蒙主義を代表する思想家ジャン=ジャック・ルソーが自身の人生を振り返り、その成功と挫折、恋愛、内面を赤裸々に綴った自伝的小説です。 ルソーは本書において、自身の性癖、盗み、嘘、他人への裏切りといった社会的に非難される可能性のある行為や、コンプレックス、嫉妬心、猜疑心といった内面の弱さをも隠すことなく告白しています。
一般的に自伝は、著者の成功や栄光を強調し、美化して描かれることが多い中、「ルソーの告白」における赤裸々な告白は、当時の読者にとって衝撃的なものでした。 しかし、それは同時に、人間の弱さや醜さを含めた本音の部分を露わにすることで、人間存在の真実を描き出そうとするルソーの強い意志の表れでもありました。
読者は、完璧とは程遠い一人の人間の苦悩や葛藤を追体験することで、人間存在の複雑さや深淵に触れ、共感や反発、嫌悪といった様々な感情を抱くことになります。 このような感情の揺さぶりこそが、「ルソーの告白」の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
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心理描写の巧みさ
「ルソーの告白」の面白さは、その赤裸々な内容だけでなく、ルソーの卓越した文章力に裏打ちされた心理描写の巧みさにもあります。 ルソーは自身の記憶を辿りながら、過去の出来事や人物に対する感情、内面の葛藤を、繊細かつ鮮やかに描き出していきます。
例えば、幼少期の性的虐待の記憶、初恋の女性への抑えきれない感情、友人との友情と決別など、ルソーの人生における重要な場面が、彼の心情と重ね合わせながら、臨場感溢れる筆致で描写されています。 特に、自己愛と自己嫌悪の間で揺れ動く複雑な内面や、他者からの承認を求めながらも、常に孤独感を抱え続ける繊細な感受性は、現代の読者にとっても共感を呼ぶ部分が多いのではないでしょうか。
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社会に対する告発
「ルソーの告白」は単なる個人的な告白の書ではなく、当時の社会に対する痛烈な告発の書としての側面も持ち合わせています。 ルソーは、自身の生い立ちや経験を通して、当時の社会における不平等、偽善、虚栄を鋭く批判しています。
孤児として育ち、様々な職業を転々としたルソーは、社会の底辺から上流階級までの様々な人間模様を見てきました。 彼は、そこで見聞きした人間の醜さ、社会構造の矛盾を、包み隠すことなく暴露していきます。
特に、人間は本来「自由で平等」な存在であると説いたルソーにとって、当時のフランス社会における身分制度や貧富の格差は、到底受け入れられるものではありませんでした。 「ルソーの告白」は、彼自身の半生を通して、当時の社会に対する強烈な告発状としての役割も担っていたと言えるでしょう。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。