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ルソーの人間不平等起源論の周辺

## ルソーの人間不平等起源論の周辺

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執筆背景

* 1753年、ディジョンのアカデミーが「人間の間の不平等は自然の秩序の一部として考えることができるか」という懸賞論文のテーマを設定。ルソーはこのテーマに強い関心を抱き、執筆を開始しました。
* 当時のヨーロッパ社会は啓蒙主義の真っただ中にあり、理性や科学による社会の進歩が謳われていました。しかし一方で、貧富の差の拡大や社会不安も深刻化しており、ルソーはこうした社会矛盾に強い疑問を抱いていました。
* ルソー自身も、貧しい家庭に生まれ、社会の不平等を身をもって経験していました。こうした個人的な経験も、論文の執筆に大きな影響を与えたと考えられています。

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主な主張

* ルソーは、人間は本来「自然状態」においては自由で平等な存在であったと主張します。自然状態の人間は、自己愛(amour de soi)のみによって行動し、他者との比較や競争とは無縁の存在でした。
* しかし、私有財産の出現によって人間社会は変容し始めます。私有財産は、人間の心に所有欲や優越欲を生み出し、他者との競争や対立を引き起こす原因となりました。
* ルソーは、社会の進歩に伴って、人間は自然状態から逸脱し、不平等が拡大していったと論じます。そして、現代社会における富の集中や権力の濫用を批判しました。

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影響

* ルソーの「人間不平等起源論」は、当時の社会思想に大きな衝撃を与え、後のフランス革命にも影響を与えたと言われています。
* 特に、「人間は生まれながらにして自由であるにもかかわらず、いたるところで鉄鎖につながれている」という有名な一節は、人々の心に深く刻まれ、自由と平等を求める運動の原動力となりました。
* ルソーの思想は、現代社会においても、社会正義や平等の実現を考える上で重要な視点を提供しています。

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批判

* ルソーの「人間不平等起源論」は、その革新的な主張ゆえに、多くの批判も受けてきました。
* 特に、「自然状態」という概念は、歴史的な根拠に乏しいという批判があります。ルソーは、自然状態を理想的な状態として描き出していますが、実際にそのような状態が存在したかどうかは定かではありません。
* また、ルソーは、私有財産をすべての悪の根源であるかのように断罪していますが、私有財産は、経済発展や文化の向上に貢献してきた側面も否定できません。

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