Skip to content Skip to footer

ラ・メトリの人間機械論の原点

ラ・メトリの人間機械論の原点

医学的経験と唯物論の影響

ラ・メトリは医師としての経験を通して、人体を機械のように捉えるようになりました。彼は著書『自然の治療法』の中で、人間の身体を自己修復能力を持つ精巧な機械と見なし、自然の法則に従って機能すると論じています。これは、当時の医学界に蔓延していた古代ギリシャ以来の体液病理説を否定するものでした。体液病理説は、人間の病気は血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の四体液のバランスの乱れによって引き起こされるとする説です。ラ・メトリは、解剖学や生理学の知見に基づき、この説を否定し、より機械論的な視点から人体を捉え直そうとしました。

デカルト哲学の影響

ラ・メトリは、デカルト哲学、特に動物機械論から大きな影響を受けました。デカルトは、動物の身体を複雑な自動機械と見なし、意識や魂を持たないと主張しました。ラ・メトリはこの考え方を人間にまで拡張し、『人間機械論』において、人間も動物と同じく機械であり、精神活動も物質的な過程に還元できると主張しました。ただし、ラ・メトリはデカルトとは異なり、動物も人間も感覚や感情を持つと認めました。彼は、精神と肉体は不可分で、精神活動も脳の物理的な活動によって生み出されると考えました。

経験主義と感覚論の影響

ラ・メトリの思想には、ロックやコンディヤックなどの経験主義や感覚論の影響も色濃く見られます。経験主義は、人間の知識はすべて経験に由来するとする立場であり、感覚論は、人間の精神活動はすべて感覚に由来するとする立場です。ラ・メトリは、感覚経験が人間の思考や感情、さらには道徳意識の形成にも決定的な役割を果たすと考えました。彼は、人間は生まれつき白紙の状態であり、感覚経験を通じて外界の情報を獲得し、知識や人格を形成していくと論じました。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5