## ランブレヒトのドイツ史の周辺
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著者について
ゼバスティアン・ハフナー(Sebastian Haffner、1907-1999)は、ドイツの歴史家、ジャーナリスト、作家です。本名は、レイムント・プレッツェル (Raimund Pretzel)。ユダヤ系であったためナチス政権下で迫害を逃れ、1938年にイギリスに亡命しました。亡命後は、オブザーバー紙などに寄稿し、ナチス政権批判を行いました。
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本書の成立背景
「ランブレヒトのドイツ史」は、1982年にドイツで出版されました。原題は “Anmerkungen zu Hitler” (ヒトラーに関する覚書)です。
これは、ハフナーが、1978年にドイツで放映されたテレビドラマ「ホロコースト」を見たことをきっかけに執筆したものです。 このドラマは、ユダヤ人一家を主人公に、ナチスによるユダヤ人迫害を描いたもので、ドイツ国内で大きな反響を呼びました。
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本書の内容と特徴
本書は、1871年のドイツ統一から1945年の第二次世界大戦敗北までのドイツ現代史を、ハフナー独自の視点で解説したものです。 特に、ヒトラー率いるナチスが権力を掌握し、独裁体制を築き上げていく過程を、当時の社会状況や国民感情を交えながら詳細に分析しています。
特徴としては、
* 難解な歴史的事象を、一般読者にも理解しやすい平易な文章で解説している点
* ドイツ人であるハフナーが、自国の歴史を客観的かつ批判的に見つめている点
* 単なる歴史的事実の羅列ではなく、歴史の背景にある社会構造や人々の心理にまで踏み込んだ分析を行っている点
などが挙げられます。
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本書の評価
本書は、ドイツ国内外で高い評価を受け、ベストセラーとなりました。 ドイツでは、歴史教育の教材としても使用されています。
ナチス台頭を許したドイツの歴史を、ドイツ人自身が冷静に分析した作品として、歴史認識の深化に大きく貢献したと評価されています。