## ランケの世界史の感性
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ランケの歴史叙述における客観性への志向
レオポルト・フォン・ランケは19世紀ドイツの歴史家であり、その著作は近代歴史学の formative な発展に深く貢献しました。彼はしばしば「客観的な歴史学の父」と呼ばれ、歴史家はその時代の出来事を、あたかも「実際に起こったように」(wie es eigentlich gewesen) 記述すべきであると主張しました。
ランケは、歴史家の役割は過去の出来事をありのままに提示することであり、個人的な意見や偏見を排除することに重点を置きました。彼は、歴史家は一次資料を批判的に分析し、異なる視点間の矛盾を慎重に比較検討することで、過去を可能な限り正確に再構成できると信じていました。
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ランケの歴史観における神の摂理
ランケの客観性への執拗なまでの追求にもかかわらず、彼自身の歴史観は、彼が生きていた時代の宗教的および知的背景から完全に自由であったわけではありませんでした。ランケは、歴史の過程において神の摂理が働いていると信じていました。彼は、それぞれの時代、それぞれの国民は、神の前に独自の価値と意味を持つと主張しました。
ランケにとって、歴史とは単なる出来事の羅列ではなく、神が人類に対して抱く計画の展開でした。彼は、歴史を研究することで、この神の計画を理解し、それぞれの時代や国民に割り当てられた独自の役割を認識できると信じていました。
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ランケの歴史叙述における国家中心主義
ランケの歴史観は、国家に焦点を当てていることも特徴です。彼は、国家こそが歴史の主要な行為主体であり、政治史が歴史研究の中心的な分野であると信じていました。ランケは、それぞれの国家が、地理、文化、伝統などの独自の要因によって形作られた、独自の個性を持ち合わせていると考えました。
彼の国家中心主義は、当時のドイツの政治状況、特にドイツ統一の機運の高まりとも関連しています。ランケは、強力で統一されたドイツ国家の出現を期待しており、彼の歴史観は、この政治的な目標と密接に結びついていました。