## ランケの世界史の周辺
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レオポルト・フォン・ランケ
レオポルト・フォン・ランケ(1795-1886)は、ドイツの歴史家です。彼は近代的な史学の方法を確立した人物の一人とされ、「歴史学の父」とも呼ばれます。 彼は一次史料に基づいた客観的な歴史記述を目指し、歴史家はその時代の出来事を「ありのままに」記述すべきだと主張しました。
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ランケの世界史
ランケは79歳で亡くなるまでに、古代ローマから18世紀までのヨーロッパの歴史を網羅した全48巻にも及ぶ大著『世界史』(Weltgeschichte)を執筆しました。
* 原題: Die Weltgeschichte
* 出版期間:1881-1888年(全9巻)
しかし、ランケは執筆途中の1886年にこの世を去りました。そのため、弟子たちによって遺稿がまとめられ、未完の作品として出版されました。
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ランケの世界史の特徴
ランケの『世界史』は、以下の特徴を持つ歴史書です。
* **政治史中心主義**: 国家間の政治的関係や外交、戦争などを中心に歴史を叙述しています。
* **ヨーロッパ中心主義**: ヨーロッパ史を世界史の中心と捉え、他の地域の歴史はヨーロッパ史との関連で記述されています。
* **客観的な歴史記述**: ランケは一次史料に基づいた客観的な歴史記述を目指し、歴史家自身の主観や解釈を排除しようとしました。
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ランケの世界史の影響
ランケの『世界史』は、19世紀後半から20世紀前半にかけて、世界中の歴史家に大きな影響を与えました。 彼の歴史観は多くの歴史家に受け継がれ、近代歴史学の基礎となりました。
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ランケの世界史への批判
ランケの歴史観や『世界史』の内容に対しては、後世の歴史家から様々な批判が寄せられています。
* **政治史中心主義**: 政治史に偏っているという批判があります。 社会構造や文化、経済など、政治以外の側面についても軽視しているという指摘もあります。
* **ヨーロッパ中心主義**: ヨーロッパ中心的な歴史観に対する批判もあります。 ヨーロッパ以外の地域の歴史を軽視しているという指摘や、植民地主義を正当化するものであるという指摘も存在します。
* **客観的な歴史記述**: 歴史家の主観を完全に排除することは不可能であるという批判もあります。 また、「ありのままに」歴史を記述するという考え方自体が、すでに一つの解釈であるという指摘もあります。
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現代におけるランケの世界史
ランケの歴史観や『世界史』の内容に対する批判はあるものの、彼の歴史学への貢献は依然として高く評価されています。 特に、一次史料の重要性を説き、客観的な歴史記述を目指したことは、今日の歴史学においても重要な指針となっています。