## ラッセルの数理哲学序説を読む
数理哲学とは何か
バートランド・ラッセルは20世紀初頭のイギリスを代表する哲学者・数学者・論理学者です。「数理哲学序説」は、第一次世界大戦中にラッセルが投獄されている間に執筆され、1919年に出版されました。この著作は、専門家でなくとも理解できるように、数学の基礎を論理学の観点から解説することを目的としています。
ラッセルの目指すところ
ラッセルは、当時の数学の基礎には矛盾や曖昧さが含まれており、それを解消するためには論理学に基づいた厳密な再構築が必要だと考えました。彼は Gottlob Frege の論理主義に影響を受け、数学の諸概念を論理学の用語のみを用いて定義し、数学の定理を論理学の公理と推論規則から導出することを目指しました。
本書の内容
「数理哲学序説」は、全19章から構成され、数の概念、集合論、論理学、記述の理論、級数の理論など、幅広いテーマを扱っています。ラッセルは、自然数を集合論を用いて定義する試みから始め、論理学の基本的な概念や記号を解説し、命題論理、述語論理、同一性、記述について論じていきます。
本書を読む際の注意点
本書は、数学の専門知識がない読者にも理解できるよう平易な言葉で書かれていますが、抽象的な概念が多く含まれているため、注意深く読む必要があります。また、現代の数学や論理学の観点から見ると、本書の内容にはいくつかの問題点も指摘されています。しかし、数学の基礎に対するラッセルの深い洞察は、現代の読者にとっても多くの示唆を与えてくれます。