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ラッセルの数理哲学序説の対極

ラッセルの数理哲学序説の対極

数学における直観主義の創始者:アレン・ハイティングの「直観主義的数学の基礎」

 ラッセルの「数理哲学序説」が論理主義の立場から数学の基礎を構築しようとしたのに対し、アレン・ハイティングの「直観主義的数学の基礎」は、その対極に位置する直観主義の立場から書かれた著作です。

 ハイティングは、数学的真理は人間の直観に基づいて認識されると主張し、論理主義のように数学を論理に還元することを否定しました。彼の立場では、数学的対象は人間の精神の構成物であり、その存在は構成的に証明されなければなりません。

 ハイティングの「直観主義的数学の基礎」は、1930年に出版された論文であり、直観主義的数学の基礎を体系的に解説した最初の包括的な著作でした。この論文の中でハイティングは、直観主義的論理、直観主義的算術、直観主義的集合論などの基礎を築き、古典数学とは異なる独自の数学体系を構築しました。

 特に、排中律の制限は、直観主義数学の大きな特徴の一つです。古典数学では、任意の命題Aについて、「Aである」または「Aでない」のどちらか一方が必ず成り立つという排中律が認められています。しかし、ハイティングは、数学的対象の存在は構成的に証明されなければならないという立場から、排中律を無制限に認めることを拒否しました。

 ハイティングの「直観主義的数学の基礎」は、その後の直観主義数学の発展に多大な影響を与えました。彼の仕事は、クルト・ゲーデルやアンドレイ・コルモゴロフといった20世紀を代表する数学者たちからも高く評価され、現代数学の基礎を考察する上で重要な視点を与え続けています。

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