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ラスキの国家論の周辺

## ラスキの国家論の周辺

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ラスキの生涯と著作活動

ハロルド・ジョセフ・ラスキ(Harold Joseph Laski, 1893-1950)は、イギリスの政治学者、経済学者。ユダヤ系イギリス人としてマンチェスターに生まれる。オックスフォード大学ニューカレッジで歴史学を学び、カナダのマギル大学、ハーバード大学で教鞭をとった後、1926年からロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授を務めた。

ラスキは、初期には多元的国家論を唱え、主著『国家論』(A Grammar of Politics, 1925年)において、国家は社会における多くの団体の一つに過ぎず、他の団体と同様に個人の権利を尊重すべきであると主張した。また、当時のイギリス労働党の政策形成にも影響を与えた。

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国家論の時代背景

ラスキの『国家論』が出版された1920年代は、第一次世界大戦後の混乱期であり、資本主義経済が大きな転換期を迎えていた時代であった。ロシア革命の影響もあり、社会主義思想が世界的に広がりを見せていた。

このような時代背景の中、ラスキは、国家の役割と限界について考察し、個人の自由と社会正義の実現を目指した新しい政治理論を展開しようとした。

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国家論の内容と特徴

『国家論』は、国家の起源、本質、機能、形態、倫理などを網羅的に論じた大著である。ラスキは、国家を「社会の中で主権的な強制力を持つ唯一の団体」と定義し、その機能として、安全保障、秩序維持、福祉の増進などを挙げている。

特徴的なのは、国家の権力を制限し、個人の権利と自由を保障することの重要性を強調している点である。ラスキは、国家はあくまで個人のための手段であり、目的と化してはならないと主張した。また、国家権力は分散化され、市民参加による民主的な統治が実現されるべきであると論じた。

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国家論の影響と評価

ラスキの『国家論』は、20世紀の政治学に大きな影響を与えた著作として知られている。特に、国家の役割と限界について考察し、個人の権利と自由を重視する彼の思想は、現代のリベラリズムや社会民主主義の思想的源流の一つと見なされている。

一方、ラスキの国家論は、その理想主義的な側面が批判されることもある。現実の政治における権力闘争や利害対立を軽視しているという指摘もある。

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