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ラシーヌのブリタニスの話法

## ラシーヌのブリタニスの話法

登場人物たちの葛藤を描く独白と対話

劇中の大部分は、登場人物たちの内面を吐露する独白と、感情をぶつけ合い対立を際立たせる対話によって構成されています。

**独白** は、登場人物の心情、葛藤、今後の行動の動機を観客に直接伝える役割を担います。
特にブリタニクス、ジュニエ、ネロン、アグリピーヌ、ナルシスといった主要人物は、それぞれの立場や感情を独白を通して吐露することで、物語への没入感を高めます。

一方、**対話** は、登場人物間の力関係や感情の衝突を鮮やかに描き出します。
例えば、ネロンとブリタニスの対立、アグリピーヌとネロンの母子の対立は、緊迫感に満ちた言葉の応酬を通して表現されます。
また、恋愛関係にあるジュニエとブリタニクス、ネロンとジュニエの会話は、それぞれの想いのすれ違いや変化を浮き彫りにします。

古典主義の三単一則の遵守

ラシーヌは、古典主義演劇の重要な規則である三単一則(時間の単一性、場所の単一性、 Handlungの単一性)を「ブリタニクス」においても厳格に守っています。

**時間の単一性**は、劇中の時間が一日以内に収まっていることを意味します。
「ブリタニクス」では、ネロンがブリタニクスを殺害しようと思い立ち、実行に移すまでの一日の出来事が描かれます。

**場所の単一性**は、劇の舞台が一つの場所に限定されていることを示します。
「ブリタニクス」では、舞台はローマにあるネロンの宮殿の一室に限定されています。

**Handlungの単一性**は、劇中に描かれる筋が一つであることを意味します。
「ブリタニクス」では、ネロンが権力を掌握し、暴君へと変貌していく過程と、その過程で巻き起こる愛憎劇が中心的な Handlung となっています。

高貴な文体と韻文詩

ラシーヌは「ブリタニクス」において、アレクサンドランと呼ばれる12音節から成る韻文詩を用い、格調高い文体を作り上げています。
洗練された言葉遣いは、登場人物たちの高貴な身分や、古代ローマという壮大な歴史背景を表現するのに貢献しています。

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