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ラシーヌのフェードルの構成

## ラシーヌのフェードルの構成

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古典主義演劇の規則に従った構成

「フェードル」は、アリストテレスの『詩学』に基づく三単一則(時間の単一性、場所の単一性、主題の単一性)を厳密に守った古典主義演劇の典型的な構成となっています。

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五幕構成

作品は起承転結の展開を持つ五幕構成を取っており、それぞれの幕は登場人物の心情の変化や葛藤を描き出す役割を担っています。

* **第一幕:** テセウスの死の噂をきっかけに、フェードルは継息子イッポリットへの禁断の恋心を告白します。
* **第二幕:** テセウスの生存が明らかになり、フェードルは絶望します。一方で、イッポリットはアリシーへの愛を告白します。
* **第三幕:** フェードルの乳母であるオエノーヌが、フェードルのためにイッポリットに横恋慕していると嘘の告発をします。
* **第四幕:** イッポリットの無実を信じないテセウスは、海神ポセイドンに息子の死を願います。
* **第五幕:** イッポリットは父の呪いによって命を落とし、フェードルは自らの罪を告白して毒をあおり、幕を閉じます。

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登場人物の心理描写に重点を置いた構成

「フェードル」は、登場人物、特にフェードルの内面的な葛藤や苦悩を深く掘り下げた作品として知られています。ラシーヌは、古典的な形式を維持しながらも、心理劇としての側面を強調する構成を採用しました。

* **独白と対話の駆使:** フェードルをはじめとする登場人物たちの心情は、独白や対話を通して克明に描き出されています。特に、第一幕におけるフェードルの独白は、彼女の苦悩と情熱を表現する重要な場面となっています。
* **舞台装置の簡素化:** 舞台装置や筋立てを簡素化することによって、観客の注意を登場人物の心理描写に向けさせています。
* **運命と情念の対比:** 神々の力によって運命づけられた悲劇と、抗うことのできない情念に苦しむ人間の姿が対比的に描かれています。

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ギリシャ悲劇の影響

「フェードル」は、エウリピデスの『ヒッポリュトス』を原作としていますが、ラシーヌは古典的な素材を独自の解釈で再構築しています。ギリシャ悲劇の要素を取り入れつつも、人間の心理描写に重点を置くことで、普遍的なテーマを探求しています。

これらの構成要素によって、「フェードル」は古典主義演劇の傑作として、現代に至るまで高い評価を受けています。

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